■答え合わせ
きっと無理だと、思っていた。
でも、ほんの少し、奇跡を期待している自分もいた。1週間が過ぎ、届いた手紙。
いつもの部屋のいつものベッドの上じゃ読めそうもない。満開の桜、神社のベンチ。
新しい季節を祝う空気の中、予定調和のように終わった何かを確認する。
これでよかったのかな。多分、良かったんだ。思い込まないと受け止めきれない
敗北感、喪失感。
きっと、忘れるさ。言い聞かせて3回読んだ便箋を封筒に戻す。
あれから自分なりに人生を過ごし、いくつもの波を溺れながらも生き延びてきた。
忘れたつもりになっていた。それでも思い出す。
今さら、忘れなくてもいいのだろう。時々思い出してやろう。
それが、「これでよかったのかな」の答えだ。間違いなく良かったんだ。
あのときの自分への何十年ごしの答え合わせだ。
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