蟻たちは疲れきっていた
餌を求めてあちこち彷徨うも、得られる餌はほんのわずかに過ぎず、その身に置かれた責任をまっとうするにはとても足りなかった
ある日、天変地異が起きる
見慣れた光景は濁流に沈み、大地は裂け、竜巻が荒れ狂った
何万という蟻達が死んだ
ところが、天変地異が過ぎ去ったあと、奇跡が起きた
目の前に湧き上がる餌、餌、餌
もはや、餌を求めて彷徨うことは無くなった
そこにいれば勝手に餌がやってくるのだから
やがて蟻は餌のとり方を忘れていった
その内餌は蟻の前から姿を消した
蟻はもう餌を取りに行く術を失っていたので、そのまま死んだ
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