2010-04-03

ゲルニカ彼女

その女はゲルニカみたいな顔をしていた。体型は太すぎず細すぎず、ごくごく普通だったが、顔だけがゲルニカだった。私は彼女ゲルニカと呼ぶことにした。「君のことこれからゲルニカって呼んでもいいかい」 私が尋ねると彼女は「ゲルニカってなに?」と聞き返してきた。「君はなんだと思う」「もしかしてエッチなこと?」「たとえば?」「スカトロの仲間とか」「仲間?」「もしくは友だちとか」「時には恋人とか?」「うふふ」 ゲルニカとそんなくだらないやり取りをしているうちに私のペニスは徐々に硬くなっていった。「ねえゲルニカ」「ゲルニカじゃないよ、沙希だよ」「沙希って顔じゃない」「じゃあどんな顔だって言うのよ」「だからゲルニカだよ。名画だよ」「メーガ?それもエッチなこと?」「君はエッチなことで頭がいっぱいなんだな」「そんなことないよ。真面目なことも考えているんだから」「たとえば?」 ゲルニカはうーんと唸ったきり黙り込んでしまった。苦悶するその表情はまさにゲルニカだった。気づくと私はズボンを下ろしていた。「きゃっ!」 ゲルニカが女らしい声をあげる。「どうしたんだいゲルニカ」 私はそう言いながらブリーフも脱ぎ捨てた。勃起したペニスがあらわになった。「何なの?一体何なのよ!」 私は逃げようとするゲルニカの肩をつかんだ。「触らないでよ、エッチ!スケベ!変態!」「聞いてくれゲルニカ」「ゲルニカじゃないよぉ、沙希だよぉ、うえ~ん」 とうとうゲルニカは泣き出してしまった。その顔は名画ゲルニカよろしく戦争の悲惨さを訴えていた。「ゲルニカ、私のペニスを見てくれないか」「嫌だよぉ、何でこういうことするの?」「なぜってそれは…」 なぜだろう。自分でもよく分からなかった。とにかく勃起したペニスゲルニカに見てもらいたかったのだ。私はゲルニカに言った。「見れば分かる」 根拠などなかった。しかしゲルニカは動いた。ゲルニカの視線が私の勃起したペニスに注がれる。「すごい……」 ゲルニカのため息がもれる。「どうすごいんだい?」「どうって、何ていうかその、上手く説明できないんだけど……」「思ったとおりに言ってごらん」「種を、種を蒔く人みたい」 確かにそれは機能的な意味で正解だった。なるほど、見れば分かる。ミレーば分かるのだ。「ねえゲルニカ」「なに?」「私の種を君に蒔いてもいいかい」「それはダメ。でも落穂なら拾ってあげる」 そう言ってゲルニカはにんまりと笑った。言葉意味は分からなかったが、私は何か温かいものがあふれ出すのを感じていた。「ちょ、ちょっと何でうんこ漏らしているわけ?もう最悪!」 なるほど、オチも酷いということか。

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