2009-07-13

戦略デフォルトとは何か?

strategic default。

エコノミストで紹介されていた。

http://www.financialtrustindex.org/images/Guiso_Sapienza_Zingales_StrategicDefault.pdf

住宅ローンにおいて、ネガティブエクイティ、すなわち、家の価値がローンの残高よりも小さくなった時に、破産して借金を踏み倒す戦術を取る人の割り合いについて調べたペーパーである。

合理的な行動を取るのであれば、ノンリコースの場合には、ネガティブエクイティになった時点で、デフォルトを宣言して借金を踏み倒す方が正しい。ネガティブエクイティの額が少ない場合にはデフォルトしないというのも、新居を探して転居するコストを加えて計算しなおす必要があるであろう。転居コストの負担よりもネガティブエクイティが少ない場合には、踏み倒す必然性は無い。

ただし、周辺の家屋でデフォルトが多く発生している場合には、将来的な不動産価値の下落を折り込む必要があり、転居コストを負担しても、デフォルトを選択した方が合理的となる。

当然のことを当然に書いているだけで、何ら目新しい視点も結論も無いペーパーである。

ノンリコースという手段は、借り手に必要以上のリスクを背負わせる、リスク管理は貸し手が行うべきであるという、消費者保護思想の結果として、ノンリコースローンが標準的な貸し付け方法になり、リスク管理をしなければならない貸し手は、その債権を格付け偽装をしてCDSにして売り払う事になった。

第2四半期の決算が終わって、住宅金融をやっていた銀行やローン会社は、抱えていた破綻物件を、競売に出し始めている。今後、さらに住宅価格の低落は続くであろうから、デフォルトも発生し続ける事になる。

住宅価格の低下がこれ以上発生しなければ、デフォルトの発生は押さえられるという仮説は正しい、しかし、その手段として、道徳に訴えるのであれば、ノンリコースというルールを変えるべきであろう。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん