ここ、本当に軍隊。
過剰な規律と規範と旧弊なシステムが、才能ある人材を潰してる。
なんかさぁ、俺ら派遣グループ、正社員連中から嫌な目で見られてて居心地悪いんだよね。
「青二才が」とか陰で言われたりしたの聞いた。
「あいつら、俺たちと扱い違う」みたいな、やっかみがあるらしい。
いや、それは確かにそうなんだろうけど
おれら派遣グループは言わば、特務の研究者・技術者グループだからであって…
って言うか、言わせてもらうけど、給料はおれらの方が安いねん!
その分、仕事がやり易いように取り計らってもらってんだよ。
まぁね、実際、おれ、割と由緒正しい家柄の出身で。
青い石とか似合う系?
人生の終点は玉座の間だって、小さい頃から決めてるし。
悪いけど、あんたらよりずっと頭いいから
あんたらを手足のように働かせてもらった方が、プロジェクトは進みが早いんだけども。
実際さぁ、おれらがキーパーソン確保するまで
どこに向かって進めばいいのか、方角さえわかんなかったでしょ?
っつーか、ロボットが動いたぐらいで、あんな大騒ぎしてんじゃねー!
おまえら原始人かよ!
あまりにも浮き足立ってて腹立ったから、内線の電話線切って、おれが直接、指示出してやったよ。
もっと崇高な目的があるわけ。
それなのに、金目の物にしか興味を示さないバカ上司とかいて
いい加減、あのアホ面には見飽きたんで、今度、出張する時、海の上にでも落っことしとしてやろうかと思ってる。
どうせ、あいつらに、おれの研究の本当の価値なんか分かんないだろ。
この仕事が上手くいったら、おれ、神になるから。
おれをバカにした連中のとこに、雷、落としちゃうから。
それまでは、ぐっとこらえるつもり…。
おれ、人間出来てるし、おれよりも若い奴が、おれの後を追いかけてくるのを止めたりはしない。