母が懸賞か何かで賞品を当てたら読売新聞がついでにセールスに来た。どうやら懸賞の応募先が読売新聞だったらしく当選にかこつけて新聞とって下さいよということらしい。
セールスの人は「映画のチケットやらレストランの割引券やらを付けるから三ヶ月でいいから取って欲しい」と典型的な売り方をしてた。母はサービス品が三か月分の購読料を超えるから自分の金で三ヶ月だけ取ることにした。
そしたら親父がブチキれた。
親父は超が付くほど読売グループが嫌いで、普段から日テレを「馬鹿チャンネル」と呼び、自分が見ないだけでなく家族が見てることすら許さないような人間だった。そのくせ自分が面白いと思った番組は日テレと気づかずに見てることがあるんだけどね。
それで母が契約したことに対し親父は馬鹿だのアホだの罵倒した挙句サービス品を家の前に投げ捨てようとした。母と私が馬鹿な真似はやめろと制止すると「だったら今すぐさっきのセールスを呼んできて契約解除して貰った物を全部付き返せ」という始末。仕方なく母が連絡を取り契約解除とサービス品を返して一件落着と思いきや、親父の怒りはまだ収まっておらず「読売グループの物を何一つ家に入れるな」「あんなもの読むくらいなら実家に帰れ」などと母に罵声を続けた。
親父が言うには「読売グループは自分たちが日本を動かしてると思ってるのが気に入らない。あんな右翼新聞を読んでたら思想を押し付けられて馬鹿になる。」とのこと。
私は読売グループに賛成するわけでも反対するわけでもないが新聞一つでここまでキれる親父の心が理解できない。ネット世代の私はそれぞれの新聞社が事実を伝える以外に社説などに自分たちの考えや思想を知ってるし、新聞の情報が必ずしも事実ではないことも知っている。右翼思想が入ってようが、左翼思想が入ってようが、新聞の内容をそのまま事実として飲み込むわけではなく事実を知るための視点の一つとして捉えるだけだ。
母もそういうそういう見方をしているかはわからないが、読売新聞を取ろうとしたのは3ヶ月分の購読料の元が取れるからだけだった。別に思想的背景があってのことではない。しかし親父はそんなことを一切聞き入れず事が終わった後も母を罵倒し続け、離婚まで仄めかすほどになってしまった。まさか我が家で熟年離婚の危機が起きるとは。
親父は自分が言った「思想の押し付け」を自分もしていることに気づいているのだろうか。気づいたところでいつものように開き直り無視するだけだろうが。
私はまだ学生で親父の稼いだ金で勉強させてもらってる立場なので強く言えないのが非常に悔しかった。
こういったことは今までで何度もあったことなので反面教師として見て、あのような狭量な人間にはなるまいと胸に思い留めるだけだ。
とーちゃんの狭量もさることながら、とーちゃんのその性格を知った上でなお読売新聞とろうとしたかーちゃんの無神経っぷりに逆に感心するよ。