2008-05-19

ラノベだから面白い

ラノベだけど面白い」「もうこれはラノベを越えている」

というような表現が好きではない。が、たまに私でもそう思う作品にブチ当たることがある。そういう気持ちはどこから来るのだろう。BL少女漫画でも似たようなことを言って叩かれてる人を見るけれど。

そもそもそういう物言いをする人の、最初に思い描いているラノベBL少女漫画の枠が狭すぎること、そしてそれらを愛してやまないくせに軽視していることが問題なのだろうか。でも私は、ラノベの中に老若男女が楽しんで読める作品があることを知っている。始めからラノベBL少女漫画という単語は、幅の広い、懐の深い、作品群を指し示す言葉なのだ。越える必要などない。軽視などしていない。

それなのにどうして「ラノベだけど」「ラノベを越えた」と思ってしまうのだろう。これをずっとぐらぐらと考えていて、一つの結論に辿り着いた。

ラノベBL少女漫画の共通項は、それぞれ読者が一部のファン(性別)に限定されているところ。どう贔屓目に見ても、少年漫画のように、一般小説のように、現状では老若男女が気軽に読んでいるメディアではないところだ(少女漫画はちょっとマシだけど)。

で、そのファンの人たちは少なからず、「え、だってラノベだろ?」「え、だってBLだろ?」「え、だって少女漫画だろ?」という評価を聞いたことがあるはずだ。あるいはもっと大きく、「え、だってオタク(女)の読むもんだろ?」でもいい。

これは本当に悔しい。おまえらにラノベの、BLの、少女漫画の何が分かるんだと。そういうこと言う奴に限って、ロクに読んだことのない奴ばかりだと。ファンが思い描く枠以前に、世間一般から評価されている枠が偏りすぎている。そんな時についうっかり言ってしまう。

ラノベだけど面白い」「もうこれはラノベを越えている」と。

それは決して、その作品が並外れて高尚だと思ったからそういう表現を選んだわけではなく、「コアファン以外の人でも楽しく読める作品がある」ということを主張したいから、ジャンルで毛嫌いせずに読んでみろよ、と言いたいからだ。もちろん「コアファンの人しか読めない」より「コアファン以外の人でも読める」が上だと言う気はさらさらない。普遍的という評価は、必ずしも誉め言葉ではないだろう。

ただ、知ってほしいんだ。ラノベというジャンルが、一部の好事家によってオナニー生産される偏狭な世界ではないということを。愛すべきくっだらないマニアック作品も多いけれど、そんな名作駄作普遍的偏狭的な作品が、ごっちゃり同居している世界を私たちは愛しているんだということを。

言ってしまえば、「ラノベだけど面白い」「もうこれはラノベを越えている」と表現され、誉めそやされる作品こそが、このうえなくラノベ的なのだ。数百の作家がひしめき合い、しのぎを削り、玉石混淆の作品が続々と発表される世界ラノベなんだよと、声を大にして言ってしまいたい。そうだ、ラノベだから面白いんだ!

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