2008-03-14

児童ポルノ法改正についての言説に思ったこと

はてブとかで児童ポルノの単純所持へのうんたらが盛り上がっているなあとボーッと見ていたら、どうにも絵やマンガなどの創作物への規制が大きな論点になっていて、おいおいそうじゃねえだろ、と思ってしまいました。

これはアレだ、詐欺でよくある手口に似ているなあと思いました。最初に現実的でない要求を突きつけたあとで、譲歩するふりをして実際の要求を通すというよくあるも、有効であるといわれる手口です。

絵やマンガ規制というのは正直なところ問題提起される時点で危険だとは思いますが、一方で賛成するにせよ反対にするにせよ、多くの人の感情に訴えるというのは、よくわかります。感情論的なところに立脚して賛成することも出来るし、表現への規制的な部分から反対することも出来る。

実写の児童ポルノの単純所持の違法化に反対することよりも、絵や漫画等の児童ポルノの単純所持の違法化に反対する方が、やりやすいため議論がそこに集中してしまっているように思えます。

でも、たとえ実写であっても単純所持を違法にするのは、現実に即しているとは思えません。この問題はダウンロード違法化にほぼ近いと思います。そして予想される罰則を考えるとダウンロード違法化より余程恐ろしい。

PCなんかを使っていると、結局自分、というより自分が使っている情報機器がどういう情報を手に入れたかも、どういう情報を持っているかも、どういう情報を発信しているかも、必ずしも明確ではありません。誰にとっても。

あるいは意図してその情報を入手するにしても、その敷居はものすごく低い。たとえばほんのちょっとの好奇心でも十分です。

その結末が性犯罪者として告発され、罰せられることかと、疑問に思います。

そしてこういったワイルドカードに近い法律が成立した後、適切な運用がなされることが全く期待できないのは、昨今の京都府警の行状からもハッキリしています。

創作物の児童ポルノへの規制に賛成する人、反対する人もどちらも真剣ではあるのでしょうが、結果として詐欺的な論点ずらしの片棒を担いでいるように思われます。

実際のところ一番問題なのは単純所持であるので、それを前提として何を規制するかを考えるのではなく、単純所持の是非についてこそ、焦点を当ててみんな考えるべきではないでしょうか。

実写の児童ポルノについては被害者がいる以上、写真ビデオのこれ以上の拡散をとめるべく対策をとるべきではないか、というのはわかります。しかしそうはいっても、立派なお題目を掲げ、重大な副作用のあるわりには、実効性の全く期待できない規制を作るのは、正義感の短絡的で危険な発露に思われます。

実際の被害の実態について詳しいわけではないのですが、個人的には児童の被害は経済的な問題が下地にあるのではないかと思っています。親が子供を脱がせるのも、お金が入るからやるのでしょう。

貧困層にある親子をどう救済するか。迂遠であるように見え、相当大変だと思いますが、それを解決することこそが、児童がこれ以上被害にあうことを防ぐ一番の近道ではないでしょうか。

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