大学生のお兄ちゃんはかなり筋肉質だ。中高といつでも運動部に所属していたし、趣味が筋トレという人だ。おまけに今はスキンヘッドだから、サングラスの一つでもかけるとまるでその筋の人のような感じになる。身長も高い。ハンマー投げの室伏選手とほぼ同じような体型だ。あんなにカッコよくないけど。
お兄ちゃんがムキムキなのに対し、私はどっちかっていうとインドアタイプで、部活も室内系が多かったから、たいして体力もないし、身長も低めで、まぁ小柄な方。だから凄い落差。近所では「あああの全然似てない兄妹の…」みたいな感じに言われてる。確かに全然似てない。
この間、そんなお兄ちゃんと、夜出かけた(最近は物騒だから夜女子一人で歩くと心配だからといってお兄ちゃんがやたら着いて来るのである)。お兄ちゃんがトイレに行ってる間に、ナンパなのかなんなのか、高校生くらいの男子3人にちょっと絡まれた。別にそんな荒々しいナンパでもなかったけど、嫌だなぁ…と思っていたらお兄ちゃんが帰ってきた。
「…うちの妹に何か?」
物凄い威圧感だった…。声、超、低い。
3人の男子はあからさまにビビっていた。何せ普通の気弱そうな女子と話してたと思ったら、背後からスキンヘッドでサングラスの室伏が出てきたのだから当たり前である。
「いや、なんでも…」「すんません…」と言って彼らは去っていった。
「そうだけど俺はあんな軟派な事はしなかった」
軟派なことて。お兄ちゃん…いつの人…。
でもそんなビビられまくるお兄ちゃんだが、本当は動物好きで人に優しい温和な人なのである。滅多な事では怒らないし、特に私には大甘だったりする。まあそんなお兄ちゃんがなんだかんだで結構好きである。彼女いない歴=人生のお兄ちゃんに、一刻も早く彼女ができる事を祈ってるよ。