2007-02-03

ある日の出来事

すごく久しぶりに合コンに呼ばれた。

僕は浮かれて、テンション高く、その場はとても盛り上がった。

それが功を奏したのか、その中の一人に気に入られて、その後数回デートをした。

何回目かのデートの後、彼女に「付き合おっか」と言われ、

僕は固まってしまった。

彼女とはとても気が合い、共通の趣味もあり、一緒にいてとても安らぐ関係だった。

その場で「うん」と即答しておかしくないシチュエーションなのに、

僕は答えられなかった。

なぜか?

一つ、心残りがあった。

数ヶ月前、僕の職場に一人の女性派遣として働いていた。

働いていた、というのは、今はもういない、ということだ。

僕は彼女のことが好きだった。

いや、好きだったらしい。自分でもあまりよく分かっていなかった。

彼女はとても魅力的な女性で、彼女が僕の職場を去ってからも、

僕の頭の中から決して離れることはなかった。

幸いにも、彼女と連絡先は交換してあって、たまメールもしていた。

でも、メールするたびに、嫌われてはいないな、と確認して喜んでいるだけで、

それ以上何かしようという気は持っていなかった。

そもそも、好きなのかどうか、自分ですらよく分かっていなかったのだから。

それが、別の女性と親密になったとたん、

そういう感情がモクモクと湧き上がってきてしまった。

それで、僕は固まってしまった。

正直言って、その時僕は恋愛に関してドシロウトだった。

こういうときどうすればいいのか、僕の乏しい知識ではすぐに判断できなかった。

しばしの沈黙の間、僕の心に悪い考えが浮かんだ。

キープ。

ほとんど女性と付き合ったことのなかった僕は、

久々に彼女ができるかもしれない、と思うと、その考えを捨てることができなかった。

事実、(合コンであった)彼女のことは好きだったし、

彼女と付き合ったら楽しいだろうな、と心の底から思えた。

でも、前述の心残り。

心に引っかかるものがあった。

僕が黙り込んでしまったので、彼女は「イヤ?」とぽつりと聞いてきた。

僕はイヤじゃないよ、と答えると、なぜ?と聞かれる。

また沈黙

繰り返すが、僕には恋愛の経験が少ない。

どうしたらいいのかわからなかった。

だから、正直に話した。

「ほかに好きな人がいる」と。

ヒドイ!だましてたの!?二股かけるつもりだったの!?

彼女言葉が、突然僕の言葉に食い込んだ。

でも、これは僕がやろうとしていたこと、考えていたことの報いなんだろうな、

とすぐに納得した。

心の狭い人間言い訳せずにはいられない。

「そうじゃない。自分でもよく分からなかった。アナタにそういわれてから、

自分の心に気づいたんだ。ごめん」

さっきより長い時間、二人の間に沈黙が続いた。

沈黙を破ったのはまたしても彼女の方。

「わかった。じゃあ、その人に告白してきなさい。

それでダメだったら、私と付き合って」

彼女の声は震えていた。

なんでそこまで、と思った。

生まれてこの方、女性モテたことなんて一度もない。

複雑な心境だった。

でも、僕はさっきの心の痛みを覚えていたから、その申し出は受けられなかった。

僕の堅い頭は、持ち主の望むようには判断してくれなかった。

そのまま彼女と別れ、もう会えないんだろうな、と寂しく思いながら、

大切な人に電話をかけ、数日後に会う約束をした。

数日後、久しぶりにあった彼女は、いつにもまして輝いて見えた。

食事をしながら近況を語り合い、話題は尽きなかった。

しばらくして、ふと、お互いの言葉が止まった時に、

彼女が口を開いた。「何か話があるんじゃないの?」と。

僕は外に出よう、と言って、支払いをして、駅に向かって歩き出した。

駅前のちょっとした公園で、僕は告白をした。

「ごめんなさい。いま、付き合っている人がいるの」

寒い冬の夜に思い出す、そんなある日の出来事。

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