2007-01-19

[] 増田無間地獄スルー力の正体

仮説

  • 増田』における議論は、自分の意見を表明することが主たる目的であり、その際書き手が判断基準として用いるのは自分の思いつきと自投稿の直近2、3レスである。

議論の参加者は、自分の投稿が周囲に評価され、以降の投稿で引用され、やがて議論が収束することを望む(「自分は特別である」「自分は選ばれし人間である」「自分を褒めて欲しい」)。しかし、『増田』においては、誰にとっても「自分の意見を表明すること」が第1の目的であるため、議論の発展的解消は達成されず、別の投稿者による類似した投稿が延々と続くか、全く別の話題がアップされるのみである(「自分以外の人間は特別ではない」「自分以外は選ばれし人間ではない」「自分以外の人間を褒める必要はない」)。

増田』におけるテクストの羅列。それは、まるで、記憶力の悪い人間の壮大な独り言のようである。

そんな「ひとりごち」への、ささやかな報酬は、はてなブックマークブックマークされることであろう。混乱した思考に対し、外部から気にかけてもらえるのだから。

ところで、意見の表明のあり方には少なくとも次のようなパターンがあるように思う。

  1. 議題に対する素朴な感想
  2. 一群の同意の流れ(微妙な見解の相違を含む)。
  3. 2にまっこうから反対する意見
  4. それまでの流れをまとめて議論を終わらせようとする意見

問題は、議論の場への参加資格が対等なため、4は多数の意見がある中での一意見という扱いしかされない点である。これにより、議論はループし無間地獄と化す。

議論の終了宣言を行うことが許されるのは「他の投稿者より身分が高いと暗黙のうちに了解される人物」であるが、増田民は匿名なので、これは期待できない。ちなみに、ここでいう「身分」とは、理屈をこねる能力の優劣ではない。サービスにおける制度上の上下関係である。例えば、書き込みにあたっての物理的な強制力(書き込みを非表示にする、凍結する、削除する、など)を持っているか否かの違いである。

増田』上の議論に対し、読み手の精神的な安定をはかるための骨法は、「参加者が飽きるまでほったらかしにする=読み手が我慢する」という点につきる。これが、いわゆる「スルー力」である。

参考

記事への反応 -
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