はてなキーワード: コノワタとは
シロイケイキさんの朝は早い。午前 6 時から起き出す食材を目利きするため、 4 時から準備して相手の自宅に赴く。シロイさん曰く、「毎日の生活にメリハリがあるかがポイント。できる人は朝からきちんと起きて身だしなみを整える。朝ごはんを食べない人は NG 」。望遠レンズ付きのカメラを手に食材を観察する目が光る。
シロイさんはフリーのサイコメトラー。事務系の OL として勤務するかたわら、能力を活かして趣味のマン・ハンティングを楽しむ。以前は政府系の諜報機関に勤務していたが、行動に制約が多いことから民間企業へ転職。今は表の稼業に加え、マン・ハンティングの第一人者としても活躍する毎日だ。
シロイさんのリーディング能力は舌経由でしか機能されない。幼少の頃から「たべものがざわつく」感覚はあったという。かつてエージェントとして活躍した頃は、ディープキスで相手の記憶を吸い取ることから"魔女"の異名をとったが、相手の脳を食べることで記憶の大半をロスなく吸収できることを知ってからは、現在のスタイルに特化するようになった。
シロイさんの主な獲物は、新鮮さを保ちつつも若干熟成の進んだ 20 代後半の男性エリート社員。「社会的ステータスもそれなりにある相手が多いですからね。防犯意識も高くて気が抜けません」ノミと槌を手にしたシロイさんが笑う。食材を生かしたまま、脳を傷つけず、綺麗に頭蓋骨を割ることが下ごしらえのポイントだという。首から下は大胆に捨てる。もったいなくて肝臓を料理したこともあったが、独特の臭みが抜けなかったそうだ。「やっぱり脳ですね」
脳の部位によってシロイさんの調理法は異なる。「それぞれに持ち味がありますね」後頭葉は雪鍋や石狩鍋風に、野趣溢れる脳幹はシンプルに塩で網焼きするのがベスト。前頭葉や側頭葉は切り立てを軽くローストしてからサンドイッチにして美味しくいただく。取材中、前頭葉を切り取られた食材が突然『ロマンスの神様』を歌いだすハプニングもあったが、シロイさんに言わせると、これも脳料理の醍醐味なのだという。
コースの締めはシロイさんのお気に入り、海馬の酒盗だ。記憶をつかさどる海馬は「牛タンやコノワタに匹敵する珍味」だという。瓶に詰めた酒盗をなめつつ、キレのいい日本酒を飲み干すときがシロイさんの至福の一瞬だ。「……美味しいっ……」ハンターとして、コックとして、グルメとして、食材を味わいきったシロイさんの瞳が赤く潤む。
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カメラマンが 20 代後半だと告げてから、急に写真写りがよくなったシロイさん。
『ESP-LIFE』 1 月号連載企画「デキるオンナのマイブーム」より
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第二回ファック文芸部杯 参加作品 (g:neo:id:xx-internet:20071203:p1)