電子書籍だけが相手であれば、紙の本は残る。しかし、インターネットが相手では、紙の本は残らない。
業としての紙芝居が消滅したのは、テレビが普及したからである。
紙芝居に相当するのが、インクのついた紙の束であり、テレビに相当するのが、インターネットである。
問題は、テレビにはコンテンツクリエイターにお金を渡すルートが、9割以上ピンはねされるとはいえ存在したが、インターネットには、まだそういうお金の流れが出来ていないという点にある。この差があるが故に、かろうじて、インクのついた紙の束によるビジネスは、存続している。
ただし、インクのついた紙の束の側には、インターネットに対抗できる人材・能力が無く、先細りが明らかとなっている事から、人的資源の欠乏を招いている。
作家や漫画家といった末端だけでなく、編集者となる人の質も、下がる一方なのであった。縮小再生産になっているので、新人の採用自体がなくなっているが、見切りをつけられる程度に優秀な人から抜けていく為に、現場に残っている人は、残りカスとなる。
盗作や無断パクリ、有料素材の無断使用といった不祥事は、書き手のモラルの低下と同時に、そういうレベルの人材しか集められない出版業界の低迷でもある。
紙の本を残す意義は作品の質の低下によっても消滅していくのだ。