この先生たちも「領土が狭く資源の乏しい日本が生き残るための唯一の道は科学技術」だと主張しているようだ.
しかし,「科学技術だけが日本が生き残るための唯一の道」だっていう議論はあんまり好きじゃないんだよな.
まず,世界の大多数の国に対して失礼だろう.日本の国土は決して狭くないし,日本語は母語話者の人口が世界で10番目ぐらいに多い言語だ.
シンガポールとか小さいのに頑張ってる国ってもっとあると思うんだ.それに科学技術は人類の活動のほんの一部にすぎないと思う.
「科学技術だけが日本が生き残るための唯一の道」だとする議論の背後には「敗戦以降の歴史の中で日本が武装することは困難になった」っていう文脈があるのに,その点に触れないように議論を進める人が多いのも気にいらない.
特に工学は軍事技術として発達した側面が強いのに,平和の面ばかり強調されるのも気に入らない.
「国家が生き残る」という表現は,「国家が戦争で負けるという事態を回避する」という意味を含んでいると考えていいだろう.
そもそも普通の国家であったら,国家戦略の一部に必ず軍事政策があるはずだ.
「他国から侵略されずに済む国際情勢を作り出すための手段」として日本は科学技術を重視するという側面が必ずあるはずだ.
この記事はちょっと言い過ぎのような気がするけど,一応参考に引用しておく→http://alternativereport1.seesaa.net/article/163802499.html
結論としては,日本の科学技術に対する姿勢はとても正しいのだろう.
僕は,メディアに映るのが綺麗な部分だけで,汚い部分も含めた文脈を理解している一般の人が少ないことが気に入らないのさ.
メディアは嘘をついていないし,本当のことも言っている.でも本当のことの全部を言っているわけではない.
でも,実際に戦争や戦後すぐの苦しい時代を直接経験した年寄りどもが「武装できない日本」についての言及を避ける気持ちは分かる気がする.