「どうして敬語使えないのかねえ?」
と、そのババアは隣りにいる同僚の女性に僕の目の前で、僕に聞こえるように嫌味ったらしく愚痴った。
突然一時間ほどの残業を頼まれて、いつもはシフト的に重ならないそのババアとかち合ってしまったのが運のつき。
僕は午後の業務の準備作業を、一人の新人と共に行っていた。
いつもその新人の指導を任せられている二人のベテランが同時に休んだので、僕に白羽の矢が立ったという経緯。
とにかく業務が開始するまでの一時間で準備を完了しなければならないのだが、いかんせん時間は切迫している。
新人はまだまだ作業効率が悪く、ほぼ僕一人で立ち回っていた。
ひたすら作業&新人の指導、フォローをし、残り十分ほどで何とか間に合いそうだと思っていたところ、ぞろぞろと午後の人間が出勤してきた。
各々が準備されているものを順に確認し始めたんだが、そのババアがとあるモノが足りないことに気づき
「これだけじゃ足りないよ」
と言った。
しかしそのとあるモノは僕が準備したものではなく、先に帰った別の人間が予め準備しておいたモノだった。
僕は準備作業の追い込みを全速で行いつつ、
「ああ、ほんとに?」
と答えた。
すると冒頭の台詞が聞こえてきた。
マジか、と。
クソババア、と。
なんだそれ、と。
クソババア、と。
今必死に頑張っているのを少しは汲み取ってくれてもいいじゃない、と。
クソババア、と。
クソババア、と。
クソババア、と。
僕は一瞬ポカーンとなってババアの顔を凝視し、次の瞬間マグマのように吹き上げたイライラをすべて追い込み作業のガソリンとして燃やし、それ以降は完璧にババアの存在をオリンポス山の山頂へと放り投げ、ついでに新人の存在もババアのどこかに引っかかっていたようで、さらにガニメデあたりまでぶっ飛ばし、帰った。
帰ってからいつ電話しても頭の中で爆音で音楽が鳴ってるから聞こえねーよって曲をひたすらループして全盛期の鮎川なおを拝み倒した。
同じ時間帯に働いている僕よりだいぶ年上のベテランさん方に半分ため口のような感じで接するのを許してもらっているのを、何度か顔を合わせたことがあるがほぼ初対面と言っていいそのババアにも同じ感じを出してしまったのは僕のミス、過ち。
それによって相手に不快感を与えてしまったことに反論は毛頭ない。
しかしその感情を直接僕に向けずに、隣りの第三者に愚痴るっていうのはいったいなんなんだ。
僕に謝る余地も与えず、そこから何も進まないじゃないか。
起こられること事態は嫌いではない。
業務への理解はもちろん、人間関係構築においても。
こんなにモヤモヤしたのは久しぶりだった。
とにかくイライラを吐き出したかっただけなんだが、文字に起こすとほんと些細などうでもいい話だな。
そういう時は、ババアの話を聞いてくれた女性に 「あー、面と向かって物言えない人っているよね~」 とでも返せばいいんだよー ていうか面と向かって言われてないなら、 増田あての...