2010-07-25

「最高の環境で働いてみないか?」と誘われた

仕事がとても充実している。良い上司と良い部下に恵まれ、待遇も申し分ない。

会社は自由な雰囲気で、誰もが最高の成果をあげるために切磋琢磨しながら、けれど笑いが絶えない。

この仕事自分にあっていると思う。残業があっても苦ではないし、なにより、無駄仕事をしている気がしない。

世間でいう「パワハラ」というものがよくわからない。上司は部下を信頼し、部下が上司尊敬しながら指導しているようなうちの会社では、そういうことが起きようがない。

互いに尊敬し合い信頼しあうことに心地良さを感じているのに、それを壊す意味がないし、壊したら仕事がはかどらない。なにより、壊してしまった時の方がストレスが貯まる。


先日、20代最期の大きな買い物として、一戸建ての家と車をローンで買った。妻と子どもたちはよろこんでいるようだ。二人の子どもたちには、それぞれに部屋を用意したが、ふたりとも、居間のテーブルで、私達夫婦時間を過ごすのが心地よいようだ。

両親は定年を迎え、今は気ままに好きな外国旅行を楽しんでいる。わたしは、帰って来るたびに孫たちに珍しいおみやげと、それ以上にワクワクする旅の話をする両親の、キラキラした目が今後も変わらないものであってくれれば良いと思っている。もし病気になった時のため、保険に加入し、両親にはないしょで積立をしている。

そのローンや、家族を養うために、仕事をやめることはできないが、なによりも、今の充実した日々に非常に満足しているので、ずっと仕事は続けていきたいと思う。

週末は、家族との時間が増える喜びを感じるとともに、月曜日を待ち遠しい、とも感じる。


ところで最近、ある会社の役員から、「うちに来てもらえないだろうか」と、転職の誘いを受けた。

それで迷っている。

もともとその役員とは知り合いだった。勉強会で、声をかけられ、食事をし、それから定期的に連絡を取り合っていた。

彼はエネルギッシュな人で、同時に人を活かす達人だった。彼の話を聞くと、体の底から力が湧いてきた。

しかし、お互いの仕事のことを話しあう、いわば同等の関係で、これまではまったく転職の話などなかった。

それが、先日、わたしにとっては急な話として、誘いがあったのだ。

給料は多く出せない、と言われた。知っていた。彼の仕事の内容は、2年間の間十分話を聞かされてきたからだ。

彼ほどの才能の持ち主が十分に利益の出る仕事を創れていないことは意外なことなのだが、しかしその仕事の内容を聞けば納得が行く。

かれは、全く新しい産業を作ろうとしていた。それは、これからの知識社会では、知識労働者にとって不可欠なものになると確信できる。

そして、なにより、そこで働くことで、多くの優れた知識労働者たちと、密接な関係を築ける。そういう仕事なのだ。

だから、彼は言う。「最高の環境を用意する。君の人生を最高に輝かせる内容の仕事なんだ。どうか、手助けしてくれないか」と。


今の会社に不満はない。しかし、彼の言葉に心が揺れる。

入社して7年、会社誕生と成長と共に、わたしは働いてきた。

会社のことは何でも知っている。そして、会社環境を作った一人であるという自負もある。

今の会社は、とてもすばらしい。ある意味完成している。

完成-それが、すこしわたしの心を曇らせる。

新しい仕事を見つけなければならない。しかし、それが社内にあるのだろうか?わたしの強みを発揮できる仕事が、まだ社内にあるのだろうか?

そして、2年間の間に、話に聞いた彼の仕事に、「開拓者」としての仕事に非常にひきつけられている。

7年前、何も持たなかった時とは違い、いまは家族がいる。

しかし、それでも、彼の言葉に心が揺れる。

もう一仕事、してみようか。一日の終わり、そういう思いが強く心を揺さぶる。

  • 「最高の環境を用意する。君の人生を最高に輝かせる内容の仕事なんだ。どうか、手助けしてくれないか」 どうみても怪しすぎるwww 会社の借金背負わされないよう、犯罪の片棒を担が...

  • 「給料は出せない⊆給料は多く出せない」だぜ? 一時的にちょっと生活の質が下がる程度に考えてないかい? 未来の成功のために持ち家手放して長屋暮らしする覚悟はあるの?君の嫁さ...

  • なんかこの物語口調はなんなの?

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