進路や部活で忙しい最中、私はR先生に勉強を教わっていた。R先生は30代前半。担任になれない先生(何て言うんだっけ?)である。ちなみに結婚はしていない。お世辞にも魅力があるとは言えないし、頑張って格好よくしようとしているのが逆に痛い。まあそんなことはぶっちゃけどうでもいい。R先生は話好きなようで、私が問題を解いている間もひっきりなしに色んなことを喋っていた。こっちは集中しているから黙ってほしいと思いつつ、愛想笑いを浮かべていた。私が問題を集中して解きかかったときに、R先生は言った。
「俺、生徒から2回告白されたことあるぞwww」
他人の恋愛歴なんてどうでもいい私だったので、そうなんですか、と流したつもりだった。しかしR先生は続けた。
「しかもふたりとも、これしてたのwww」
これ、と言いながらR先生は、左手首を出し、右手人差し指でそこをなぞった。所謂リストカットの動作だった。そうなんですか、と言いつつ、私は若干興味があった。R先生の恋愛歴ではなく、R先生がリストカットについてどのような考えを持っているのかについてだ。私は解きかけの問題集から目を離し、R先生へ向けた。するとR先生は嬉しそうにして、また話し始めた。
「一人目の子は昔やってたらしくてwバレンタインの日に『好きです』って言われてwでも俺教師だからそれは駄目って言ったんだけどw」
「二人目の子はあれやってて、傷とか腕から見えんのw俺びっくりしちゃってwww泣き出したら切っちゃうから親呼んだりとかしてwwwww」
これは自慢話のつもりなのか、はたまたオカルト話をしようとしているのか、私にはわからなかった。R先生は笑いながら話していた。私はどういう顔をすればよいのかわからなかった。とりあえず笑おうと思っても笑えなかった。そしてR先生は言った。
「ありえないだろ!w気持ち悪いよwwだってさあ、リストカットするって頭おかしいんじゃないの?って思うじゃんwww」
私はR先生が教師になれない理由がわかった気がした。教師は生徒に対して無関心若しくは生徒の心のケアをする存在であると思っていた私は、少しだけがっかりした。そして、世間のリストカットに対する考えを聞いて、とても悲しくなった。
なぜなら私は、昔リストカットをしていたからだ。
先程も言ったようにリストカットをする理由は様々だが、私の場合、痛みを感じたら嫌なことを忘れられるからだった。その頃の私は父親がいない寂しさや母親から感心されない悲しさ、うまくいかない友人関係などで、心が不安定だった。今その行為をすることはなくなったが、古傷は腕にしっかりと残っている。その傷を隠すために半袖は切ることができないし、温泉に入ることも躊躇ってしまう。そして何度も「なぜこんなことをしてしまったんだろう」と自己嫌悪に陥る。
「俺変な奴ばっかに好かれんだよね~www」
世間からすれば、R先生が普通で、私が異常であるかもしれない。でも私からすれば、R先生は異常で、私は普通だと思った。どこにだって悩める女子はいるわけで、解消する形は人それぞれというだけなのだから。相手のSOSを無視してそれを笑い飛ばすR先生は、やっぱり私には異常に見えたのだ。
いてもたってもいられなくなった私は、そうですね~あっ、もうこんな時間だから帰らなきゃ!なんて嘘をついて、R先生にさよならを言って、教室を静かに去った。そして私はトイレへ駆け込み、声を枯らして泣いたとさ。
お前が変な奴だったって事じゃん。 なんにも間違ってないよ。
横だけど、影で嫌われてるのはあんたみたいな人間だと思うよ。
横とか言って自分が叩かれると人格否定ですかwww ぶっちゃけリスカする奴はやっぱりちょっと普通とは違うよ。 別に悪い意味とは限らないんだけどね。
相談する先生を間違えたね。
*「いじめないで! ぼく わるいスライムじゃ ないよ ▼
http://anond.hatelabo.jp/20100704191701 気にするな。精神が不安定になったときに自殺を謀ったり、自虐行動を取るのは人間の基本的な反応だ。というかごく一部の人間を除けば、ある一定の環境...