2010-04-25

台所でチロチロと火が出てる。

ご主人様は、まだ気がついていないみたい。

火が出てるよ、って教えてあげたけど、あまり気にしてくれてないみたい。


ちょっと火が大きくなってきたみたい。

ご主人様も気づいたみたいだけど、まだ大丈夫だと思ってるみたい。

早く消したほうがいいよ、って教えたけれど、お家の増築に夢中のご主人様には、僕の言ってることは聞こえてないみたい。


どんどん火が大きくなってきた。

でも、ご主人様は、別荘建てるのに夢中みたい。

早く消さなきゃ危ないよ、って言ってるのに、「うるさい」ってご主人様は怒るだけ。



火が台所から出て、周りに燃え移っちゃった。

ご主人様、燃え移ったところに水をかけたけど、台所の火は消さないみたい。

水と消火器もったいない、って言ってるみたい。

台所の火を消さないと駄目だよ、って言ったけど、「そんな声は聞きたくない」っていうばかり。



もう台所は燃え尽きちゃった。

周りに燃え移って、あちこち燃えてる。

ご主人様は、火を消すのに夢中みたい。

もう逃げないと危ないよ、って言ったのに、「とにかく消さなきゃ。じゃんじゃん水と消火器を買ってこなきゃ」って言うだけで、僕の言うこと聞いてくれない。



お外から、「何を言っても通じないよ。早く逃げなよ。」って声が聞える。



お家はもう殆ど焼けちゃった。

ご主人様も燃えちゃった。

僕の周りも火で包まれちゃって、とっても熱い。

僕も一緒に死んじゃうのかな。


そうだね、カラスさん。あのとき言ってくれたように、自分だけでも逃げれば良かったんだ。

でもね、出来なかったんだ。だって、僕は、カナリアだから。

籠で飼われたカナリアだから。

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