2010-03-27

もういい

声を聞いたら泣いちゃうだろうなっていう人がいて、

姿を見たら、今どんなに幸せだとしても、苦しくなってしまうような人がいて、

何につけても、どんなに色んなものに囲まれていても、

その点をつかれると、ふいに切なくなってしまって、動けなくなって、

悔しくて、残念で、でも仕方なくて、叫びたくなる。歯噛みする。

その人がいなかったら、あの映画であんなに泣かなかった。

あの本を買ったりしなかった。

あの広告に足を止めなかった。

この先、どうにもならないけど、この先ずっと、そういうことはたくさんあって、

変な日常の欠片で け躓いては、一人ぐっとなったりする。

諦める  だったり、

忘れる  だったりってことが、

その言葉通り、ただの動詞なら、私にもできるはずなのに、

なんでこんなに、いつまでも動けないんだろう。

初めて人を好きになるその人を見ていた。

初めて好きな人デートするその人を見ていた。

失恋する姿も、それをバネに初めて人に告白する姿も、見ていた。

初めて好きになった人に触れて、でもそんなことは口に出さなかったけど、

どこか少し静かに変わっていったその人も見ていた。

このままいくと、この先も見ていくのだろうかと思って、いつも怖くなる。

結婚して、子供と手をつないで、子供の反対側の手にはその人の好きな人がいて、

そういう風景をいつか見たりするのだろうか。

幸せなんだろうなと、なんとなく予想がついてしまう。多分。

それが嬉しいだなんて微塵も思いたくないのに、

泣き笑いみたいな顔しかできなくなりそうで、

なのに、気持ちは罵るより複雑で苦しくて、

好きじゃないなんてことは一生思えないのに、

好きでいいなんて一生認めてもらえなくて、

束ねても、どこにもやれなくて、しんどくて。

ふいによぎる「私を呼ぶ声」

それを思っただけで、もう、進めなくなる。

悲しい、悲しい、悲しい、悲しい、悲しい。

悲しいけど、悲しむことしか、彼と私にはもうないのだと、それが悲しい。

関わっても、関われなくても、悲しいことしかないから、

せめて綺麗に生きていこうと思う。

外側だけでいい。

その人をこの先見つめている私の背が、綺麗に伸びて、悲しくても美しくあれるように。

内面はどんなに渦巻いても、その風景が綺麗なら、もう、それでいい。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん