2010-03-01

JALに乗るおじさんの日記 - あるいは、サービスの質を考える

ttp://brevis.exblog.jp/12222908/

周知の通り、アメリカレストランステーキを頼むと、「焼き方はrare? well-done? つけあわせはマッシュポテト? フレンチフライ? サラダドレッシングはoil&vinegor? French? Italian? Southern Island?」と何でもかんでも聞いてくる。彼らは、顧客選択肢を与えることこそサービスだと心得ているのだ。そんなことより、もうちょっと上手に料理してよ、と思ったりもする。ところが、フランスビストロでビフテックを注文すると、彼らはほとんど何も聞かずに、料理を持ってくる。焼き加減はア・ポワン(ちょうど)で、付け合わせはフリットフライドポテト)。サラダは、たとえばオンディーブのサラダならクルミ入りのオーロラソースという具合で、すべて定石が決まっている。そのかわり、まあそこそこ美味しい。これが彼らのサービスなのだ。

寿司屋風に言えば、アメリカ人は「お好み」派で、フランスは「おまかせ」派だ。これはちょうど、米英のエンジニアリング会社コストプラス・フィー(実費償還)契約プロジェクトを好み、仏伊のエンジ会社がランプ・サム(一括請負契約をうまく料理する傾向に、ちょうど合致する。でも、フランスビストロの客が、定石をわざとはずした要望を口に出せば、もちろん彼らは顧客の意志に従う。すべての顧客は好みも意志も持っている。それが西洋人の前提なのだ。

ひるがえって、JALはどうだろう。あの会社は、“黙って、最上の物(と自分が信じるもの)を提供する”ことがサービスだと心得ているらしい。プロダクト・アウト--極端に言えば、一種の一方通行である。そして、私たち日本企業はどうだろう。「おまかせ」での仕事を好む“寡黙な大工さん”が身上ではないだろうか。だとしたら、いつの間にかJAL競争力を失っていった轍を、私たちも踏んでいないだろうか。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん