2010-02-17

電車のした

正直怖かった。

幸いあの女性は軽い擦り傷程度のケガで済んだので、僕は感謝状を受け取りに行かなくてはならなかった。

今でもあの瞬間が発作のように再生される。

女性を線路に寝かせたのは、彼女泥酔して動けなかったことと、電車がすぐ間近に迫っていたからだ。

いつかのテレビの聞きかじりで車体の下部分には若干の空間があることも知っていたし。

たまたま。それだけ。

ピンチ女性を助けたいと思ったとか、もともと正義感あふれる人間ってわけじゃない。

僕はただの一般人心臓を、さらに永久脱毛したようなそれの持ち主だ。

テレビではとっさに機転を利かせた対応…なんて言われてたみたいだけど、今になって思うのだ。

もしあの時、彼女の顔面が車体に擦れて重症を負ったら、とか

想像以上に車体の下に余白がなく、彼女が轢かれたり、何かに引っかかって電車に引きずられたりしたらと。

僕が関わってアクションを起こしたことで、例えば傍観した場合以上に、彼女の被害を大きくしてしまっていたらと。


もしそうなった場合、僕の人生はどうなっていたんだろうと。

感謝状とか丸岡さんが好きとか言ってる場合じゃない。

もう一度言う。僕は強くない。だからもう二度と、人助けはしたくない。

もとい、「そういう場面」が僕のいる場所にもう二度と訪れないことを願っている。

  • よくやった。 たとえ女がどうなろうとお前が責められる謂れはない。 お前みたいのヤツのおかげで世界は回っている。 ありがとう。

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