学校を卒業してから、ひとりで自営業をしていたが、なんだか寂しくなったのと、売上が落ちてきたので思い切ってバイトを始めた。
私は、コミュニケーションが苦手で表面上の付き合いは十分に、それこそリア充かって位に出来るものの、一歩でも学校や会社を出てしまうとメールや電話での連絡をどうすれば良いのかわからず、プライベートでの友達付き合いをほとんど経験した事がなかった。
ここでなんとかそういった所を改善、あわよくば彼女なんか出来たらなと思って数カ月間過ごした所、なんだかモテ期がやってきた。
職場の女の子が頻繁に話しかけてくる。休憩時間をできるだけ合わせてくる。一緒に帰ろうと誘ってくる。
女の子の親しい友達は私とその子をくっつけ様としてくるし、「あの子、君の事が好きらしいよ。」なんて話も聞かされてしまった。
女の子本人の方も色々な相談をしてきたり、かなり積極的にアピールしてきてくれたので、新年会の後に私から告白し、付き合う事になった。
しかし、それから1度のデートもしないまま1週間でフラれてしまった。
彼女の理想と事前に考えていた私の実際の性格が随分違った為に「やっぱり好きじゃないと気がついた」とはっきり電話で言われてしまった。
突然言われた訳ではなく、何日か前というか付き合って3日目位から既に雲行きが怪しい気がしていたのでショックでは無かったけど、それと同時に自分でも色々気がついた。
・コミュ力不足による会話途切れを防ぐ為に、心にも無い事を色々と口にしていた。これにより彼女の中の私の人物像を大きく崩してしまった。
・今まで良い男が居なくヒドイ目にばかりあってきたと、草食系の私に相談してきた彼女だけど、好きなタイプはやっぱり遊びが上手い肉食系の男だった。
・彼女もそうだけど、私自身も彼女の事はそこまで好きになってはいなかった。告白したのは周りの雰囲気に押されてしまったところがあった。
最初の会話途切れを防ぐ為の言葉は、私としては冗談のつもりだったのだけど、彼女は言葉通りに受け取ってしまう人だったので、本当に失敗した。
表面上のコミュ力だけではやっぱりボロが出てしまうんだなと痛感させられた。
肉食系の男共のあの直接的な表現力は二十歳を超えてからでも身に付けられるものなのだろうか。
それが必ずしも良いものとは言えないけど、一刻でも久々に彼女が出来たのが嬉しかった分、今回の出来事は正直少し悔しい。
それでも簡単な会話で振られてしまうのならば、簡単な会話で振り向かせる事も可能ではないのだろうかと、前向きな考えも浮かんできている。