ふた昔くらい前、私も受験生でした。
かといって芸大に入れるほどの実力もなく
残り半分が実技試験の配点となっていました。
筆記試験に一日、実技に一日を費やします。
実技の場合はモチーフの周りに
前の人の絵は丸見えに近い状態になります。
実際描いている時はバランスを確認したりするために
席を離れて見ることも可能でしたので
前の席の人でも後ろの人の絵を見こともできました。
本題。
私の斜め前の方の描き方を未だに忘れられません。
あなたは人の姿を描くとき、どこから描き始めますか?
絵を習っていたことがあれば、おそらくは
全体のボリューム(頭と身体の大きさのバランス)をざっと描く方が多いでしょう。
もしそうじゃなくても、輪郭を描く方が多いのではないでしょうか?
その方はなんと、服のシワから描き始めたのです。
実技試験のある学部は、その実技を重視するために
偏差値が低くなる傾向があるのですが
センター試験の結果でその低さを狙って
にわか美術志望者が結構多くあらわれます。
おそらく、その方もそのうちの一人だったのでしょう。
私はその描き方に気が動転し、自分の絵よりも
その方の絵が気になって仕方がなかったのでした。
私の気持ちをよそに、ちゃんと紙に収まるように
結局全体を書き上げたのには、驚きました。
その方は合格することはできなかったようです。
実際合格した同級生で絵をちゃんと習っていない方は0でした。
やはりいくら勉強ができても入学はかなわないようです。
いまだに忘れられないから面白いですよね。
先生になろうとも思わなかったですし。
実技試験のある学科を安易に受けるより
ちゃんと勉強して行きたいところに行けるよう
努力した方がいいよ、という話。