がんばってレポートっぽく書くと……
他企業から設計・生産を請け負うEMS(Electronics Manufacturing Service)という業態がある。EMS企業は複数の取引先からの注文をまとめ、そのスケールメリットを生かしてコストダウンや工場運営の平準化を推し進めている。台湾系の企業が多い。
この業態を可能にするのは、水平分業を前提とする製品設計だ。規格化やモジュール化によってどこの会社でも同じように作れるようになれば、顧客は性能の心配をせずにコストのみで商品を選ぶことができる。結局EMS企業が得意とするのは、パソコンのような差別化しにくくなっている製品だ。
一方、日本企業は垂直統合方式をとっている場合が多い。伝統的な日本企業の場合、「すりあわせ」という言葉に代表されるように、部品の製造から最終製品の組み立てまでを社内で綿密に行うことによって商品の価値を高めてきた。
……なんて思っていたのですが、EMS最大手の鴻海精密工業(Foxconn)は積極的に垂直統合に向かっていることを最近の報道で知りました。
直接販売を始めたり(http://techon.nikkeibp.co.jp/article/HONSHI/20090925/175645/)、
部品(LCD)の製造を手がけたり(http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20091116/177642/)。
こうなると「水平分業か垂直統合か」という議論をするのがばかくさくなります。結局規模の大きいところが勝ち残るということで。つまらないけれど、これが未来なんだと思っています。