誰得だけど。
ゲイ向けの漫画や小説と腐女子向けのBL本って、どっちも男性同士の恋愛を描くって意味で同一視されがちだけど、本当は全然違うものなんだ。
以下ではA/Bの相違について考察する。
性嗜好 | 本人の性 | 恋人の性 | 男同士 | 男女 | 女同士 |
---|---|---|---|---|---|
ゲイ | 男性 | 男性 | [A]ゲイ作品 | - | - |
ノンケ男性 | 男性 | 女性 | - | 美少女漫画とか | 百合 |
ノンケ女性 | 女性 | 男性 | [B]ボーイズラブ | 少女漫画とか | ?(*1) |
ビアン | 女性 | 女性 | - | - | ビアン作品(*2) |
*1 女性が百合作品を読むことはあるんだろうか?ないとしたら、対称な表になるね。
*2 レズビアン向けの漫画や小説には全く詳しくないのだけど、本稿の趣旨が正しければ、百合とは別物のはず。
ゲイ作品は読者が体験したいシチュエーションを描くけど、BLの読者は体験したいわけではなく、見ていたいだけ。
このことが具体的にどういう違いになるかというと、例えばノンケが誘われてゲイに目覚める話があった場合、ゲイ作品では普通ゲイ側が主人公になる。BLではノンケ側が主人公になることもあり得る。
BLは「現実を思い出させないこと」に価値があるから、大富豪とか、御曹司とか、現実離れしたシチュエーションでの作品が成立する。
ゲイ作品は「現実にあったらいいな」と思わせることに価値があるから、少なくとも主人公は普通の人間になる。
むしろ、関係性に萌えるのがBLと言ったほうがいいのか。ゲイは漫画に好みのキャラが一人出てきただけで萌えられるけど、BLでは必ず二人以上のキャラクターがいなければならない。
ゲイ作品にはタチとウケ(凸/凹)の2種類しかないが、BLでは攻めと受けの他に、誘い受けとか鬼畜攻めとかの属性がつく。
で、ゲイ作品では基本的にタチが積極的な態度を取るのに対し、BLではどちらが積極的かは決まってないようだ。
積極的 | 消極的 | |
---|---|---|
攻め | 俺様攻 鬼畜攻 | ノンケ攻 へたれ攻 |
受け | 誘い受 小悪魔受 | 健気受 姫受 |
属性の例。参考資料 http://www12.atwiki.jp/dh_bl2/pages/33.html
BL漫画は愛情表現が濃い。「俺はお前が側にいなきゃ駄目なんだ!」と口に出して言ってみたりとか。
ゲイ漫画では、クサい台詞はリアリティがないから、モノローグとか表情・仕草で間接的に描写される。
BLでは、プレーンな友情が恋愛感情に発展したりするが、ゲイ漫画ではそういうシチュエーションはない。
現実のゲイの視点では男性が「恋愛可能」と「恋愛不可能」に最初から分かれてしまうので、愛情が育つことはあっても、突然発生することはない。
当然だがゲイ作品にはゲイが好む男性が登場するのに対し、BLには腐女子にとって好ましい男性が登場する。
だからBLでは体毛はあまり描かれず、「綺麗な足」みたいなフレーズが登場したりする。