2009-10-12

貸し渋り貸しはがし対策法。

聞こえは良いが、実体は、金融機関が行っている博打の負け分を税金で保障するという法案である。

アメリカ発の金融危機において、ほとんど全ての金融機関が損失を被り、まともに処理すると連鎖破綻するという事で、価値の無い債券を時価で評価するという評価方法を捻じ曲げ、額面で評価して、利益の範疇で損失を表面化させて処理を行うというように、ルールが変更された。本来ならば、納税されるべき金融機関利益で損失の穴埋めをするという事であり、この処理が行われている間、金融機関倒産する事はあっても別の金融機関が受け皿となって引き受けるという処理が行われる為に、新規の参入が阻害され、また、金融市場が独占状態になるというデメリットを、将来において国民が被る事になっている。

これは、失われた10年と言われる日本バブルの処理の際に行われた事と、結果的には同じ事態となっている。

で、今回出てきた、中小企業向けの貸し渋り貸し剥がし対策法は、景気が悪化していく状況の中で、貸し金を回収できなくなる金融機関が増加するという現象に対する手法で、回収可能性が無い貸し金は、貸し渋り貸し剥がし対策法の対象にする事で、税金による保障が付き、実質的不良債権ではなくなる。この為、回収可能性が限り無く低い貧民に住宅資金を貸しまくりCDSにし、さらにそれを細切れにして混ぜて虚偽の格付けをつけた債券にして売りまくって手数料を稼いだアメリカ金融機関と同じように、回収可能性とは無関係に融資を出し、その債権税金によって回収するという商売が可能になってしまう。

もし、お金が借りられなければ、金融機関信用調査機関が貸し渋っていると主張すれば、貸し渋り貸し剥がし対策法に違反するという事で、声の大きい所ほど、多額の借金が可能であり、その借金は、全額、税金で裏書される。事業を行っている所は、借金をしまくって隠し財産を作り、計画倒産破綻させて借財を税金押し付けることで、利益を作れるようになるのである。

モラルハザードと赤字が単年度で発生する制度であれば、無能を自覚させる為にあえて成立させるという手段はあるが、最長3年間据え置きとか、その分の元利を含めて追加担保無しで借り替えといった無茶な法案は、潰すべきである。潰すべきなのだが、衆参共に与党が過半数を押さえそうなので、通ってしまいかねない。支持率を落としても反省するとは限らないので、次の参議院補選で様子を見るしかないだろう。

http://www11.ocn.ne.jp/~ques/diary/diary.html[2009.10.9]

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん