ネットにおけるコミュニケーションの際に匿名と実名という二つの選択肢があるが、
同時にだからこそ真に人間的な(勿論これは錯覚であるが)コミュニケーションだと考えられ、広く普及した。
対して後からそれを追いかけるように実名による情報発信、プロモーションの手段としてネットを利用する人々が増え始めた。
しかしながら匿名文化が実名文化に先行したネットのコミュニケーション世界では、
匿名文化こそがコミュニケーションのデファクトスタンダードとして多くの人が認識していると思われる。
匿名文化とは前述の通り性悪説によって立つものであり、ここでのネットにおけるコミュニケーションとは
「現実社会では言えない事でも言ってしまえるし、匿名である限りそれは他の匿名者との共犯関係として尊重される」という事を意味する。
これを基本とするよりアクティブなネットユーザー層にとって、実名ユーザーとは「自分達を相対化するもの」である。
結果として実名ユーザーとは「精錬潔白で、かつ実名と共に発言するに足るだけの有意義な情報リソース」としてのスタンスが求められる。