少し前までは、泣きたくても泣けなかった。確かに。
しかし最近は少し様子が変わってきた。
ふと唐突に泣ける瞬間があるのだ。
別に悲しいことがあったからでもない、感動しているわけでもない。
何というか、今まで自分が溜め込んできたものが溜まりきらなくなってあふれているような、そんな感じでぼろぼろと涙が出てくるのである。
もう少し言い換えるなら、今までの自分が感銘を受けた言葉、事柄、体験、そういったものをぼんやりと思い出し、
世界は何でこうも太刀打ちできないものなのか、自分は何故こうちっぽけなのだろうと、ふと堪らなくなる瞬間。
むしろもっと若い時期に皆体験することなのかもしれない。
たぶん、自分が世界に向き合ってびっくりしているということなのだろう。
言ってしまえば中二病との決別。
このモヤモヤが確固とした形になるまでは死なない。そうか、俺はまだ生きている。生きられるんだ。