2009-09-16

明日結婚するので、二股を葬る

私は明日婚姻届を出して土曜に結婚式をするんだけど、携帯には二股かけてた男の番号がまだ残ってる。

会社に命じられて一人だけで参加した単発の研修で男に出会った。

普通に名刺はやりとりして、メールアドレスを聞かれて、

向こうはナンパだったかもしれないけど、じつは私のほうで一本釣りした。

すぐに食事にいってすぐに寝た。好きとかなんとか、めんどくさいことは言った覚えがない。

夫になる人には「幼なじみと飲みにいく」とかありえない言い訳をしてた。

男は体格がよくて稼ぎもよくて、セックスもうまくて。

だけど本は読まなくて煙草を吸う女はきらいで割り勘もさせてくれなくて、

なんか知らないけどすぐに「結婚」みたいなことを言う。

だけど私はそもそも恋じゃないから、男と腹を割って話せたことはなくて

たぶんすごくつかみ所のない女で、途中からもう撤退戦の構えに

なっちゃって、だんだん会わなくなって、連絡することも減った。

たまーに、近況を報告する、ちょっとさびしそうなメールが来てたっけ。

そもそも夫になる人は、ずっと大昔、彼女がいる状態で私とずーっと付き合って、

私がどんなに怒鳴ろうが泣こうが地団駄を踏もうが別れてくれなかった。

別れさせるのに2年以上かかった。そのときの絶望感というか屈辱感は、

まだ思春期の出口にいた、自意識と感受性があふれそうに痛かった私を

深く傷つけていたんだと思う。

だけど夫になる人へのある種の復讐のために、ほかの男を使うべきじゃなかった。

生身の人間であるあの男に、すごく悪いことをした、と悔いる。

だって何をしたってどうせ男と夫になる人を比べて、

夫になる人が好きだって再確認しただけだったもん。

私は転職した。引っ越しもした。男の名刺もとうになくした。

もうこの携帯の番号以外に、男とつながっているものは何もない。

これをいま消したらほんとにサヨナラだ。

だからこの電話番号をここに葬ります。ごめんなさい。

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