別に見せるのを拒んでた訳でもないし、特別見せたいという感情もなかった。
15年以上前の物であり、つまりは見せたい見せたくないと思う以前の完全な忘却状態だった。
文集は、文集委員なる物をクラス毎に生徒の中から選抜し、
選ばれた生徒が中心となって作っていくもので、内容はと言えば
「クラスの中の○○な人BEST3」とか「この人は将来こうなりそう」とか
他愛のない物ばかりで、あとは体育祭や文化祭等のイベント毎の写真で綴られる。
恋人はもちろん私のクラスと私がどんな人間であったかに興味があるようで、
私はクラスの中でおとなしい人BEST3と変わってる人BEST3にランクインしていた。
過去の自分は絶対的な存在力でその文集の中におり、恐らく、いや間違いなく
当時の私は、クラスの中で一番にはならない程度に中途半端におとなしくて、
そして変わっている人間だった。
恋人がどんな気持ちで「変わってる人だったんだー」とか「おとなしかったんだー」と
私に言ってきたのかは分からないが、言われた私の方はと言えば、
うまく表現できないが「過去の自分が現在の自分とリンクしていない」気分にとらわれた。