2009-05-31

表現規制論はリスクを伴う

ナチ党が共産主義を攻撃したとき、私は自分が多少不安だったが、共産主義者でなかったから何もしなかった。

ついでナチ党は社会主義者を攻撃した。私は前よりも不安だったが、社会主義者ではなかったから何もしなかった。

ついで学校が、新聞が、ユダヤ人等々が攻撃された。私はずっと不安だったが、まだ何もしなかった。

ナチ党はついに教会を攻撃した。私は牧師だったから行動した― しかし、それは遅すぎた。


我々規制反対派が使うマルティン・ニーメラーの詞だ。

このように、一度規制への動きを許すとどんどん新たな規制を許すというのが我々の考えだ。

ただ、このロジックは反対派の結束を高めるには有効だが、

反対の声を広めるにはあまり有効ではないと思う。

「Aが起こればBが起こり、Bが起こればCが起こる…」というのは代表的なドミノ理論だからだ。

ドミノ理論という物は、どれだけの確率で起こりうるのかに言及しない限り、詭弁とみなされかねないものだ。

ベトナム全土が共産化すれば、東南アジア全土が共産化する」というのが詭弁だったのかは

解釈が分かれるところだが、「風が吹けば桶屋が儲かる」は明らかに詭弁だ。

ドミノ理論というのが詭弁とみなされやすい以上、

規制反対の声を上げるときにはロジックに気を付ける必要がある。

この理論は反対派の結束を高めるには有効だが、反対の声を広めるには有効ではない。

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