2009-05-30

ファミリーポートレイトを読んだ

桜庭一樹は鬼才ではない。奇才でもない、ましてや天才でもない。

秀才かというとそうでもない。

下積みを経てやっと世間に認知された、運のいいただの文学少女のなれの果てである。

まだ一日一冊本を読み、少女らしさの残った感性で、

世界に潜んでいる官能を、欲望を、爛熟した肉体から紡ぐ、文学少女のなれの果てである。


彼女人生はそこそこ悲惨であったに違いない。

適当ライトノベルを書いては、売れるかどうかに頭を悩ませる日々。

ファミリーポートレイトでは、後半、作家世界に主人公を飛び込ませる。

ここにあるのは、彼女のある意味理想的な作家像で。

自分の格好の悪い過去を、ひた隠しにしていて。

だから僕は、失われた時間のために、泣いた。

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