単純作業は機械にやらせればいい。人間はもっと付加価値が高く創造性のある仕事に従事すべきだ。社員一人当たりの生産性を高めていくことが,ますます激化していく競争社会において生き抜くための鍵ですよ。
こういう前提で,顧客に業務改善の提案をする。経営層は熱心に聞く。うまくいけば注文がもらえて,うちのエンジニアに仕事を与えることができる。客も喜ぶ。Win-Winの関係だ。
でもどうなんだろうね。人間は必ずしも,高付加価値で創造性のある仕事に就ける人ばかりではない。海老の殻をむいて孫の小遣いを稼いでいた婆さんから仕事を奪っておいて,彼女にいまさら何をさせようというのだろう。ある企業では知的障害者に倉庫のピッキングをさせていたが,それが機械で合理化されたらできる仕事がなくなってしまった。
労働はグローバルな競争の場だ。言語や習慣で多少バリアが残ってはいるが,限られた雇用をめぐって世界中の人が争っている。日常で目にするように,清掃や小売は今や中国人が主役となった。多くを持たず,多くを望まない,というような生き方はもはや許されない。非熟練・低賃金労働という「下」のポジションだって,機械や第三世界に奪われてしまう。より高い価値を生み出していかなければならない。もっとがんばれ,もっと強くなれ。でもそれができない人はどうすれば?
野菜を箱に詰めたり牛乳を配ったりしていればギリギリ生活できるような,「誰でもできる仕事」へのアクセスを誰にでも保障するような,そんな仕組みはできないものかな,と考えている。
「働かざるもの喰うべからず」をやめればいいんだと思われ。 古代ギリシャの奴隷の代わりを機械がやって人間様は遊んで暮らせる(働きたい物好きは道楽で働く)世界が俺の理想だな...