「それ、かわいいですよねー」とか
「サイズお出ししますよ」とか
モノを売っている店で店員に話しかけられるとすごく面倒くさい。
というか、話しかけられることが怖い。
反射的に逃げなきゃって思うのに体は違うことしてるので、なんか一瞬パニックみたいになって、頭真っ白で、
「あ、……う…」(大汗)みたいな感じになる。
で、ほとんどの場合は聞こえなかったことにして手にしていたモノを戻し、別の場所に移動する。または店を出る。
ネットを見ていて、同じように感じる人がけっこういるんだってことを知って、ちょっと安心した。他にもいるんじゃん、こういう人。
それで調子に乗って、話しかけられても無視してりゃいいや、むしろ空気読め店員とか思った。
「デパートとかで話しかけられたら『はい』とか笑って適当に言っとくといいと思うよ」
って言われた。
そうかー、他人をガン無視してる人間を端から見てたら気分よくないよね、そりゃ。
「はい」くらいはできるかなー……。
なんて、言われてできりゃ苦労しないんだけどさ。
なんでこんなに話しかけられるの怖いんだろうな……
って考えてたら、思い出した。
突然他人に話しかけられる恐怖感の原体験。
私は昔から友達がほとんどいなくて、小学校のときなんかは教室にいても話す相手もなく、休み時間は自分の席で本読んだりしてた。
他の子達の集団トイレとかには誘われもしなかったし、行きたいとも思わなかった(今考えても理解できない)。
で、たまに声を掛けられることがあるかと思うと、それはたいてい面倒なことを押しつけられるか、新しいネタでからかわれるかのどちらかだった。
「他人の挑発に乗ったら、ヤツらはこっちの反応を見て笑うつもりだ。相手にしたら負けだ。」
そう思って、できるだけ反応が希薄になるよう心がけた。
声を掛けられたら、どんなちょっかいが出されるかを全身で感知し、相手が期待している反応を予測して、ぜったいにそれに沿わないように対応する。
…これって、今同じ事してないか?
20年以上の前のことに怯えてんのか、私は。
てなこと考えながら、うーんそうだねーって生返事してたら、彼氏が追撃してきた。
アメリカでは、お店に入ってきたお客さんにとりあえず声をかけるらしい。それは、入ってきた相手がこちらの言うことを理解できるか、あやしい人じゃないか確認する意味もあるんだそうだ。
一度はアイコンタクトしておかないと不安らしい。これは店に限らないそうだが。
(まあ全部がそうではないのかもしれないけど、駐米経験のある人だから全く聞きかじりの欧米論てわけじゃないんだろうな)
そしたら私なんか超怪しい要マークな客なわけだが。
もとい、じゃあ日本ではどうだろうかと考えてみると、怪しい度チェックはともかく、入ってきた客には声を掛けるのが店員の使命、くらいに言ってる店はあるんじゃないだろうか。日本的なお作法として。
むしろ、そういう店の方が多いんじゃないだろうか、ということに思い至った。
経営者側からしてみたら、ご来店いただいたお客様にお声もおかけしないなんて失礼だ! というわけだ。
彼女らは好きこのんで私なんかに声をかけてるわけじゃない。仕事なんだ。決して、私のアイデンティティに話しかけられているわけではないんだ。と思ったら、ちょっと気が楽になったよ。
まとめると、
■20年以上前のことに怯えるな
店で声を掛けられても、その相手は自分をネタにしたり吊し上げようと考えてるわけじゃない。
即「敵だ」と身構えなくてもとりあえず大丈夫。
■店員も仕事だ
店の人間は仕事だから客に声を掛けなくてはならないのであって、
自分は無数の「客」という記号の中のひとつに過ぎない。
そうやって考えてみたら、すぐに笑って「はい」は無理かもしれないけど、ちょっと落ち着いて、次回からはガン無視はしないようにできるんじゃないかな、っていう気がしてきた。
そうは言っても、「買ってくれオーラ」とかをギトギトに出されたら、脳みそがしびれて怖くて逃げたくなってしまうと思うけどね。