宮崎アニメは、品質そのものの低下も去ることながら、大きくその勢いを失いつつある。
かつてのジブリアニメは、客入りもなく、同時上映という当時でいえば順当だが、所詮子供向けの娯楽映画であったものの、今見ても感動させられるほどの巨大なエネルギーを持っていた。
そのエネルギーがあったからこその、現在の地位ではあるが、スタジオジブリはじめ宮崎アニメといわれる映像群は近い将来、第一線から離れるだろうと私は見ている。
理由はいくつかあるが、大きく二つ挙げよう。
これは個人の能力の話ではない。体力の問題だ。挙げておくにとどめる。
意外だと思われるかも知れないが、世界名作劇場は日本人のアニメーションの原風景であり、それに立脚した宮崎・高畑に代表されるスタジオジブリの作品群は、これらの背景があってこそのものと言える。
しかし、世界名作劇場は終了し、アニメはもっぱら成人の娯楽となりつつある。彼らは世界名作劇場でありながら、その影響を脱した世代だ。その世代より下の世代は、ジブリのブランドは知っていても、世界名作劇場は知らない。彼らのアニメーション原風景は、幾何学模様のキャラクターであり、萌なのだ。
これらメインターゲットとなるべき層が、ジブリに憧憬を感じなくなったとき、ジブリ作品は第一線を離れる。
憧憬を感じられる世代の、ノスタルジーな作風として楽しまれるものになるわけだ。
日本で地方公演をして回るベンチャーズのようなものになるかもしれない。
世界で評価されているではないかという反論もあろう。
しかし、芸術として評価される作品に、我々が求めているような娯楽性はあるだろうか。我々とは全く違う二次世界をもつ米人に、我々が感ずるような感動を得られるわけがなく、彼らが感じている感動も我々は理解できるはずもない。