2008-12-17

貯金が200万円まで行くということ

ボーナスが入って、貯金が200万まで行った。

その額を少ないと思うか、多いと思うかはここを読んでいる人それぞれのことだと思う。

けど、僕にとってはこの額を貯めることがとても大事なことだったのだ。


実は今年の初めあたりに、小説のある新人賞を取ることができた。その賞金が200万円だった。

友人以外で自分小説が認められるというのは初めてのことだったし、その賞の投稿数がかなり多かったのでその中から僕の作品が選ばれたということはとても誇らしいことのように思えた。


しかし、様々な事情があり僕はその賞を辞退せざるを得なくなり、当然その作品商業出版もなくなってしまった。

事情事情だけに、悲しみよりも怒りしか湧いてこなかった。


僕が憤慨したのには様々な理由があるけど、ここでは書かない。

そのような憤怒の中で「あんな賞などいらん!」という気持ちになったし、たとえ過去に戻れることがあったとしても僕は絶対に賞を受け取る気はない。

はっきり言って後悔など一つも存在しない(反省点はそれなりにあるけど)。


それでも後ろ髪を引かれる部分があった。それが賞金のことだ。正直な話、200万円もらえますと言われた後に、やっぱり手に入らなかったという展開は非常にしんどい。


だから賞の辞退した三月ごろから、その賞金分だけのお金を貯めようと節約を始めた。

その新人賞のことで引きずっているのはお金のことだけなので、これを何とかしてしまえば自分の中で完全に決着がついてしまいそうな気がしたからだ。


そして今月、200万円到達。

途中では知り合いには「暗い情熱」と称されていた。自分でもずっとそう思っていたので終わらせることができて本当に良かった。


今の気持ちは、心の底から全部どうでもよくなった。

辞退した時に思ったような「もっと有名な賞を取って、あの編集部連中を見返してやる!」という気持ちもない(だから今は全然書いていない)。

そもそも僕は新人賞など取ったのだろうか、妄想なんじゃないだろうかという気持ちにすらなっている。

現にその新人賞ホームページでは、最終候補作に残っていたはずの僕の作品名前は完全に抹消されているから、本当に賞なんかを取っていたのか証明不可能である。


なんか貯金が200万あってラッキーって気分でしかない。

本当に僕の中で終わってしまった。


「こうして顛末を書いていること自体が、まだこの件を引きずっているのではないか」と思う人もいるだろうけど、ちょっと違う。


実は今年の前半くらいまで本当に頭に来ていて、雷句誠騒動に便乗して、裏話まで全部暴露してやろうとまで思っていたのだが、友人に止められた。

彼に「自分の一時的な感情と、2ちゃんねらーの一時的な愉しみのために、今後プロデビューしていく上の障害物を自分で積み上げるつもりなんですか? それって自分自身の将来を愚弄してますよ」と言われてしまい、「全くそのとおりです」としか返せなかった。


今となれば賞のことも今後のことも興味は無い。やけくそになったわけではなく、他に面白いことを見つけたのでこの件全般について飽きてしまったという感じだ。


もちろん、小説を書くことをもっと頑張れるんじゃないかと思うところもある。

けどやっぱり終わってしまったことは終わってしまったんだ。

けりが付くってのはそういうことなんだろう。

  • 要するに、提出してあった作品の保管が不始末で、たとえばアイデアだけでも他の新人賞とか連載にパクられたとか、まあそんなん? 大変だのう……… 昔、出版系に就職しようと思っ...

  • 関係ないけど口語で「愚弄」って使う人いるんだ、、。

  • ネガティブな傷を埋め合わせるには、やっぱり大きな労力がいるんだよね。 失敗や挫折を「糧になるから」と慰める人がいるけど、それは欺瞞だと思う。 当人がその経験を消化する上で...

  • 自分の小説が出版されて広く読まれるチャンスを逃したことより、 たかだか200万を逃したことがくやしいってのがよくわからん。 それでも後ろ髪を引かれる部分があった。それが賞金...

  • もしかして咲かない花先生ですか?

  • いわゆる燃え尽き症候群ってやつですね。 もぉ、世界中にはもっと大変な生活している人がいるのに、自分は200万もの貯金もあり、ためれるほどの能力があるじゃない。 今の自分にあり...

  • 文学賞とか賞金狙いであれこれでお小遣いを稼いでたことがある。 100万単位の賞金ももらったことがあるが100万を超すと正直煩わしいだけだよ。 報道で名前とか、下手したら顔とか出ち...

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