その額を少ないと思うか、多いと思うかはここを読んでいる人それぞれのことだと思う。
けど、僕にとってはこの額を貯めることがとても大事なことだったのだ。
実は今年の初めあたりに、小説のある新人賞を取ることができた。その賞金が200万円だった。
友人以外で自分の小説が認められるというのは初めてのことだったし、その賞の投稿数がかなり多かったのでその中から僕の作品が選ばれたということはとても誇らしいことのように思えた。
しかし、様々な事情があり僕はその賞を辞退せざるを得なくなり、当然その作品の商業出版もなくなってしまった。
僕が憤慨したのには様々な理由があるけど、ここでは書かない。
そのような憤怒の中で「あんな賞などいらん!」という気持ちになったし、たとえ過去に戻れることがあったとしても僕は絶対に賞を受け取る気はない。
はっきり言って後悔など一つも存在しない(反省点はそれなりにあるけど)。
それでも後ろ髪を引かれる部分があった。それが賞金のことだ。正直な話、200万円もらえますと言われた後に、やっぱり手に入らなかったという展開は非常にしんどい。
だから賞の辞退した三月ごろから、その賞金分だけのお金を貯めようと節約を始めた。
その新人賞のことで引きずっているのはお金のことだけなので、これを何とかしてしまえば自分の中で完全に決着がついてしまいそうな気がしたからだ。
そして今月、200万円到達。
途中では知り合いには「暗い情熱」と称されていた。自分でもずっとそう思っていたので終わらせることができて本当に良かった。
今の気持ちは、心の底から全部どうでもよくなった。
辞退した時に思ったような「もっと有名な賞を取って、あの編集部の連中を見返してやる!」という気持ちもない(だから今は全然書いていない)。
そもそも僕は新人賞など取ったのだろうか、妄想なんじゃないだろうかという気持ちにすらなっている。
現にその新人賞のホームページでは、最終候補作に残っていたはずの僕の作品の名前は完全に抹消されているから、本当に賞なんかを取っていたのか証明不可能である。
本当に僕の中で終わってしまった。
「こうして顛末を書いていること自体が、まだこの件を引きずっているのではないか」と思う人もいるだろうけど、ちょっと違う。
実は今年の前半くらいまで本当に頭に来ていて、雷句誠騒動に便乗して、裏話まで全部暴露してやろうとまで思っていたのだが、友人に止められた。
彼に「自分の一時的な感情と、2ちゃんねらーの一時的な愉しみのために、今後プロデビューしていく上の障害物を自分で積み上げるつもりなんですか? それって自分自身の将来を愚弄してますよ」と言われてしまい、「全くそのとおりです」としか返せなかった。
今となれば賞のことも今後のことも興味は無い。やけくそになったわけではなく、他に面白いことを見つけたのでこの件全般について飽きてしまったという感じだ。
もちろん、小説を書くことをもっと頑張れるんじゃないかと思うところもある。
けどやっぱり終わってしまったことは終わってしまったんだ。
けりが付くってのはそういうことなんだろう。
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横だけど、出版社って今ほんとキツイよね
関係ないけど口語で「愚弄」って使う人いるんだ、、。
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