私はネットを始めてから絵を描いたりブログを書いたりと様々な表現に取り組んできましたが実はとてもハードな世界なのではと思います。
(前置きですが表現全体を取り扱うのは難しいのでここでは表現の中で”絵による表現”に比重を置いて語ろうと思います)
『ウェブ進化論』やその一連の本にはしばしば”高速道路”という言葉が登場し、これはウェブの進化により生まれた競争による能力洗練を意味します。
私もウェブの中で絵の高速道路を走ってきた一人であり、相対的に見てまだまだ下手くそな部類ですが始めた頃に比べて上手くなれたのでは、なんて思ったりも。
しかし私はかなり疲れています。なぜなら絵というのも結局は情報なのであり、ウェブの海に自らの絵を放り込むとすぐさま情報価値の評価がなされるからです。
採点基準の数字というのは例えばヒット数であったり、トラックバック、もろに搭載されている採点機能など、人によって様々ですが、このような数字はいたるところに存在します。
過去のアーティストの絵画は、名前が売れるまで不特定多数の目に晒されるということは望んでもできなかったことでしょう。
しかし現在ではそのようなことが簡単に実現されます。そしてその表現に連鎖反応を受けて作り手にまわる人の出現だって珍しくない。
絵を描いていると、ふと「ああこんな絵誰に見ても喜んでもらえないや」という考えが頭に浮かんで、とたんにつまらなくなるということがよくあります。
他人の評価を無視してただ楽しいから描くことこそ本当の絵だ、というような高尚な意見を主張するつもりはさらさらありません。
ただ、あまりに他社是認の絵や、そうした姿勢で絵を描く人が増えてきたのではないでしょうか。
これは、作り手一人の心の問題だけですまされることではないと思います。
寧ろ私はウェブの持つ特性が作り手の心を蝕んでいるのではないかと感じています。
それに乗じて生まれる嫉妬や際限なく見る側が傲慢になっていく姿に耐えられなくなる時がよくあります。
そのような気持ちを乗り越えられることこそ才能であったりするのでしょうか。