数多い屋台の中に、鶏肉を鉄板で焼いているところがありました。鶏肉を焼いているのは他にも複数あったのですが、その店は少しだけ工夫がしてあり、段ボールにマジックで味の種類を書き並べてあります。
少し気になったので見ていると、店のあんちゃんに愛想良く声をかけられました。
「どうお嬢さん、味がいろいろあるよ。」
なるほど七種類もあります。
「今の時間はね、ちょうどいいんだよ。夕方くらいになると肉が硬くなっちゃうからね。」
そんなものかと思い、肉の焦げる匂いも食欲をそそったので買ってみようと思いました。
「ソースの種類を選んでね。」
鶏肉に掛け回すソースによって、味のバリエーションを持たせているようです。
よくよく見てみると、なかなか凝っています。半分くらい、私の聞いたこともない名前です。
その中で「デミグラスソース」があります。そういえば最近、ハヤシライスを食べていないな、最後に食べたのはいつだったかなと埒もないことを考えつつ、何となく豪華なイメージがあるのでこれにしました。
離れたところに陣取ってぱくつき始めて間もなく、何とはなしの違和感を感じました。
鶏肉自体は美味しかったです。皮もほどよくパリッと焼けていました。それにケチャップとソースは、家庭のハンバーグにかけると美味しいものですしね。
でも釈然としません。ケッチャップ・アンド・ソースを、デミグラスと称して良いものでしょうか。普通、牛肉やたまねぎを煮詰めたような、肉の出汁の効いたものを言うのではないでしょうか。私は騙されたのでしょうか。
数あるたこ焼きの屋台の中で、特に行列のできているところがありました。得てして屋台は、似たような店でも客の並び具合に大きな差があるものです。
その店は、おそらく、大きな海老がバットに入っていることに特徴があります。
たこが比較的大きく刻んである店は複数あるのです。でも、エビチリに使いそうなぷりぷりの海老が具になっているのはこの店くらい。
ただバットの端っこを良く見ると、その海老が細かく刻まれたのが置いてあります。さすがに一個丸ごとを入れるのは無理があるでしょうが、大きな海老は目を引きます。