戦争の記憶を残したいのなら戦争を起こすべきだ。国家が存亡をかけて、その意志の前には何もかもが無価値になってしまう戦争を起こすべきだ。
戦争の語り手が減っているのなら、新しい戦争の語り手を産み出すべきだ。確固とした憎悪でもって敵を殺した語り手を産み出すべきだ。確固とした憎悪でもって敵に殺された語り手を産み出すべきだ。
人々は靴を履き換え、生活の足音は軍靴の音に変わる。窓からは明かりが消え、涙で扉は閉ざされる。電車から降りてくる人々の足取りは重く、道路には何も存在しない。
飛行機の音が聞こえる。顔を上げても、乾いた瞳しか見えない。顔を下ろすと、自分の手が見える。本当に自分の手なのか?答えは出ない。
そして、あの娘は砂に変わった・・・・