高校生のときは、公務員になって安定した生活をしようと思っていた。入った地元の大学は文系、経済学部だった。
サークル活動に明け暮れて、公務員試験の勉強なんてまったくしなかった。
趣味はインターネット。ただパソコンを触るのが好きだった。パソコンを専門に扱う仕事に、漠然と憧れを抱いていた。
プログラミングの経験なんて、勿論なかった。
それだけの理由で僕はSEになった。
僕は従業員200人くらいの中小企業に、SE兼PGとして入社した。
研修で、初めてプログラミングに触れた。正直、何が楽しいのかわからなかった。
当たり前だ。興味なんてはじめからなかったんだから。ただSEという肩書きに、惹かれただけだったんだから。
その後、僕は行き当たりばったりの仕事をした。ソースはコピーして貼り付けるか、教えて君になって先輩に聞いてばかりいた。
「お前には向上心が無い。」
先輩は僕に向かってそう言った。
同期とも距離を置いた。自分より遥かにできる、まばゆいばかりの彼らが、僕の目に鋭く突き刺さった。
そして、たった1年で会社を辞めた。
僕は努力をしなかった。ただそれだけだ。