いや、それは違う。
気持ち悪いAと気持ち悪いBが一緒になったことから生じる感想は必ずしも一通りであるとは思えない。
たとえば「気持ち悪いオタクA」と「気持ち悪いヤクザB」が街角で出会って大変なことになったとしたら、たとえばオタクAが大変爽快な目にあったりとかはたまたAの懐の自衛用アーミーナイフでBが大変壮絶なアクションになったりそうならなくてもBの元に赤い回転灯のお迎えが来てしばらく娑婆とお別れみたいな大変喜ばしいことになる可能性もある。
あるいはオタクAとオタクB(dqnAとdqnBでも可)が男女であるとして、両者の結合は周囲に色々な安心感や安定感を与えることになり、たとえばオタクAにストーカーまがいのつきまといをされていたC子さんにとって、それはそれで大変気持ち悪くない結果が生ずることもないわけではない。
よって、たとえ事前にAとBに対して「気持ち悪い」という感じを持っていたからといって、AとBの結合が「気持ち悪かった」という感想は、全く新しい情報であり得るので、あらためて述べる価値の無い情報だとは言えない。
また一方、AとBの結合が「気持ち悪さ」を生ぜしめたからといって、A、Bをあらかじめ気持ち悪く感じていたとも断定できない。たとえばバナナとマヨネーズは、それぞれ別のシチュエーションで私に気持ち悪さを生じさせるわけではないが、組み合わされば気持ち悪さを生じさせる。一方でそれをメロンの味とか訳の分からない主張をする人もいるわけだが、それはそれとして、少なくとも自分にそれは「気持ち悪かった」という主張を行ったとしても、必ずしもあらかじめバナナとマヨネーズそれぞれに悪意や気持ち悪さを抱いていたと言えるものでないことは明らかである。