僕は、あるサブカルチャー系の雑貨屋でアルバイトをしていました。みなさんの中にも、きっとご存知の方もいらっしゃるでしょう。
まっ黄色のカードが添えられた商品が、所狭しと詰め込まれたあのお店です。
みなさんも、もしかしたら「あのお店で働きたいな」なんて思われた事があるかもしれません。
僕もそうでした。しかし、僕のように実際に働いてみた人は、あまりいないと思いますが。
僕が、あのお店で働く事になったのはちょっとしたきっかけがありました。
僕は当時会社員でしたが、税理士の資格を取る勉強に見通しが立ってきたため、睡眠時間を削る変わりに勤務時間と給料を減らして、
生活費だけ稼げるバイトに鞍替えする事を考えていました。そこで、なんとなく憧れていたあのお店の門を軽い気持ちで叩いたのです。
非常に敷居の高そうなイメージのあったお店でしたから、僕は落ちてもしかたないと思いながらも、
勉強をしなければいけない事や、社員になるつもりはない事を正直に話しました。
バイトからしか社員を取らない"徒弟制度"で有名なあのお店ですから、見込みのある社員候補でなければ採用はないと思い込んでいました。
結果は即採用でした。翌日から出勤です。その時の僕は純粋に自分を認めてくれた事に喜び、明日から始る新生活に胸を躍らせました。
ところで、このお店の低賃金ぶりをご存知でしょうか。僕の場合は690円でした。しかも、それでも古参の社員から言わせれば"高い"そうです。
そして、僕はその事を採用が決まってから教えられました。まさか、そこまでの低賃金とは想像もしていません。
何度も断ろうかと思いましたが、貯金もそこそこあったし、優しそうな店長さんが認めてくれたのにお金の問題で断るのも悪い気がしてしまいました。
そんな躓きもあったのですが、働き始める前までは僕は幸せでした。
このお店で、どんな人に出会うか、どんな仕事ができるか、楽しみでした。
それは、出勤一日目に崩されるのですが…。続きは、また今度。