2007-05-15

http://anond.hatelabo.jp/20070515133606

 この世の金のからむ問題の9割は金以外の問題に辿り着く。ニートフリーター、自分の望まない労働に従事している労働者などは何度も「金さえあれば」という叫びをあげてきたが、それは同時に「金儲けして誰かを安心させたい」とか「我が子に望む道を与えてやりたい」という人間らしい思いからだった。どんな金持ちだって、ぽっかりあいた心の隙間は埋められない。自分と周囲の人間幸福に暮らすだけの十分な金があってなおがつがつと金を求める人間は、一般におそらくかなり奇異視されるか、よくて軽蔑されるだろう。

 「お金は何よりも大切だ」などとのたまう人間がいるが、とりあえず十分な金を持ってから喋れ、と言いたくなる。そんな言葉をいう人間は、とりあえず金には困らない生活、すなわち人間らしい人生を体験したことがないからそういうことをいうのである(あるいは人間らしい人生を送っていたこともあるが、その価値を理解しなかった)。それに今は、金だけあっても何にもならない時代なのだ。大体、金が無くても人の心を掌握できている状態(尊敬されている状態)は望んでも得られる物ではないし、周りに誰もいなくても金がある状態の生活の心寒さは時には致命的ですらある。使える金だけは捨てる程あるのに好きでもない酒と女に溺れて身を持ち崩し薬で死ぬ金持ちの馬鹿息子を見ていれば、たとえ食べるものに困る日があっても、とりあえず家族が笑い合えて幸せに暮らせる名も無き市井の生活の方がどれだけ豊かかなんてことは簡単に分かる。どんなに金があっても、豊かな家族愛自尊心を持ちえていない人間は死ぬしかないのである。「金無き生など生きるに値しない」と反論する人間もいるだろうが、そういう人間社会に出たことが無いのだろう。金を中心とする価値観など日常の生活の中で簡単に破壊されうるものである。たまに、どんな仕打ちを受けても金への執着心を失わず、守銭奴のように振舞える人間がいるが、そんなもの全体のうちのごくわずかの事例であり、問題ではない。普通の感覚で守銭奴人生を一生送ることは難しい。豊かな人生を大切にする気持ちさえあれば逃げられずに済んだ妻、失わずにすんだ家族や命がどれほどあったことか。

 

 いや、絶対的な虚無である死(あるいは不治の病)はどんなに豊かな人間愛があっても避けることができない、という人間もいるだろうが、それがどうしたというのだろうか。その問題は愛があっても無くても解決しようの無い問題であり、的確な反論にすらなっていないのである。それに、絶対的な虚無である死や不治の病のその最中でこそ、金があれば「金があるからこいつはオレの世話を…」などという猜疑心にかられ人は狂うものだ。

 何度も繰り返すが、金さえあればこの世の問題のほとんどは解決できると思うのはちゃんちゃらおかしいのである。血縁関係とか社会強迫観念(「働かないといけない」)とかそういうものを金に置き換えることが、人としての生き方を損なう非常な危険なのである。金に縛られる人生をこそ我々は恐れなくてはならない。

…というわけで、今すぐ金を捨てて私にください(笑)

記事への反応 -
  •  この世の問題の9割は金で解決することが出来る。ニートやフリーター、自分の望まない労働に従事している労働者などは何度も「金さえあれば」という叫びをあげてきた。学歴だって...

    •  この世の金のからむ問題の9割は金以外の問題に辿り着く。ニートやフリーター、自分の望まない労働に従事している労働者などは何度も「金さえあれば」という叫びをあげてきたが、...

      • 一行でコミュニケートすることは難しい。 「毎食牛丼」というのは、その程度の破壊された味覚しかないのに物の味を語る滑稽という比喩 うん、だから俺はそれを言ったよね。ガ...

    • http://anond.hatelabo.jp/20070515133606 で、金がない場合は?

    • コピペ?

    • 「金よりも大切なものがある」ことと、金の重要性はなんら矛盾しないと思うが。 何をそんなに猛り狂っておるのかね?

    • それに今は、金さえあれば人の心だって買える時代なのだ。 「1兆円あげるから、俺のために今から30分以内に死んでくれ」

    • http://anond.hatelabo.jp/20070515133606 確かに、自分自身が精神的に不安定だったのは、職がない時と金がない時だった。

    • http://anond.hatelabo.jp/20070515133606 町田康といしいしんじの『人生を救え! 』では、「人間の悩みは全て『人間関係』の悩みに還元される」と結論付けてあって、 「金が無い」→「体面が保て...

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