ビル・トッテン コラム No.771 オープンソースの社内活用
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/column/1183637_629.html
マイクロソフトのビル・ゲイツ会長は、知的所有権を排除しようとする動きを「現代の共産主義者」と呼んだという。
その通りじゃないか。ビル・ゲイツの言うように
「共産主義」という言葉を、極端な場合では、個人がその働きの見返りとして多くの富を築くことは間違いであると信じられているシステム
(*)だと定義するならね。
ただビル・ゲイツは今の情報化社会に対応する著作権・特許制度の改良の必要性を理解しつつも、マイクロソフトのステークホルダーとして今の知的財産権の制度を守らなければならない、というジレンマに陥っている。
従来一つの企業または個人が独占的に所有してきた知的財産そのものが公開され、共有化されることによりその価値が薄れていき、ソフトウェアの世界においてもそれがオープンソースという形態で将来起きうるだろうと予測し、それに備えた移行でもあった。
日本には著作権・知的財産権の保護の強化を叫ぶ人ばかりで実感としてわかないけど、こういう人の存在を考えると欧米にはビル・ゲイツの言うような
クリエイティブな作品のためのインセンティブの仕組みは一切あってはならないと信じる極端な人々
(*)が少なからず存在するんだろうね。
確かに著作権の過剰な保護を求める動きはおかしいけど、知的財産権の価値が薄れていくという考え方もまた極端な主張だ。
著作権、特許制度といったシステムの改良が必要とされているのは確かだけど、その価値が薄れていく、無くなっていくなんてことは有り得ない。
なぜなら創作や技術開発に携わる人達のほとんどは金銭的なインセンティブを必要としているからだ。
必要なのは情報流通が活発化した時代に適した制度に改めることであって、彼が主張するようなことが近い将来に起こることはない。
そもそもオープンソースなんて極論すれば、ビル・トッテンが嫌う金持ちの道楽そのものなんだけど。
彼が個人資産500億ドル(約6兆円)を築いたことを考えれば、私は反マイクロソフトの共産主義者というレッテルを、喜んで張られよう。
この人は金持ちは貧乏人を搾取している、富の総量は限られているなどの大昔の考えの持ち主のようだ。
そのような考えは21世紀はもちろん20世紀のものですらない。
せいぜい19世紀までだ。富の総量が急激に増加し始めたのはいつか? ということで考えれば18世紀末までだろう。
参考リンク:
アシスト、社内オフィスツールをOpenOffice.orgに全面移行
http://opentechpress.jp/news/07/03/16/0940248.shtml
ビル・トッテン コラム No.771 オープンソースの社内活用
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/column/1183637_629.html