母子家庭だと子ども1人につき月2万円くらいもらえる生活保護の母子加算が今後3年で廃止されるらしく、夕方のニュースで特集ルポをやっていた。基本的に「母子加算廃止は弱いものいじめだ、ひどい」みたいなアングルなんだけど、出てきた例が微妙に突込みどころのある人たちで、いまいち視聴者の共感を損ねそうな感じが残念だった。
2人出てきたんだけど、1人目は3児(小学校低学年、幼児、幼児)を育てる34歳。上の2人は前夫との間の子どもで、夫の浮気が原因で離婚。その後できた恋人との間に1児をもうけ、その人とも別れて1人で3人育ててるそうな。収支の一覧表が出てきて、収入・支出ともに22万円くらい。支出はギリギリで減らせないから加算が減ったら困ります、とのこと。
で、あれ?と思ったのは、収入欄に父親からの養育費が無い。説明が無いので事情は分からないが、まず養育費があってそれでもこれだけ足りないから困るんです、と言わないと「税金より先に男から取れよ!」と思われそう。養育費が取れない事情があるなら(強制力が弱く、母子では取り立てコストを負担できないので、踏み倒しが増えて問題になっている)、それは生活保護の問題じゃなくてそっちの問題として扱ったほうが。
あと、若いスタッフが作ったのか分からないけど、年配の人は私生児に厳しい見方をするんじゃないかな。それこそ「だらしないからこんなことになる」的な。
支出では家賃が15,000円で、おそらく公営住宅の優遇制度を使ってるんだと思うんだけど、安い。家賃除いて母と幼子3人で20万は最低限ギリギリなのか、諸費用の相場がいまいちわからないのでなんとも言えないけど、詳しい人が見たら思うところがあるかも。
気になったのは学用品35,000円というのは毎月そんなに何を買ってる(あるいは買わされてる)のか不思議だったのと、教育費40,000円というのが幼児の保育料なのか小学生の習い事なのか不明だったところ。前者と後者で印象が180度変わると思うんだけど。生活保護の基準をちらっと見たら学校で指定された学用品は実費支給みたいなことが書いてあるけど、どうなんだろう。うーん。
2人目は幼児と2人暮らし(年齢忘れた)。夫が働かずに酒に溺れてDVの毎日。自分名義で生活費をサラ金から借金させられて自己破産。命からがら夫と別れて逃げてきた、という絵に描いたようなかわいそうな女性。収支共に約12万円で、そんなに変なところはなかった。本当に大変そう。
ただ、家賃が7万円で、多分都会の民間アパートなんだろうね。さっきの人みたいに公営住宅に安く入ればいいのに、申請してるけどなかなか入れないのかな、とかちょっと思った。あと、ガス代が18,000円てのはどんだけ極寒の地に住んでるんだとも思った。
このご時世だし露骨な捏造はやりにくいにしても、印象操作とかサンプル選びなんかはいくらでも工夫できる気がするんだけど、それをしないってことは実は表向きのアングルはフェイクで「ほら、シングルマザーはだらしなくて自業自得だから母子加算なんて無くすべきなんですよ」というのが隠された真の主張なんだろうか、とか勘ぐってしまった。