2007-01-29

[]メールの話(2/3)

続き

ぼくは彼女からの好意らしきものを感じていて、何となくそれを避けていたのだった。そういえば。ぼくはそれをすっかり忘れていて、「仲のよかった女の子」という枠でのみで記憶していた。いやまあ、それも間違いではないのだけれど。

あるいは。好意らしきものというのも後付で捏造された記憶なのかもしれない。でも、思い返すと、一緒に映画を観にいったり、一緒に出かけたり、飲み会のときはいつも二人で話していたり、そういえば携帯電話を持ち始めたきっかけも彼女だった。もしこれが友人から聞いた話であれば、「絶対お前に気があるって」位のことは言いそうだな。うん。

前にも書いたとおり、そのころの携帯電話には同じキャリア間でショートメッセージを送る機能しかなくて、それもオプションサービスで別途契約する必要があった。ぼくに携帯電話を持たせることに成功した彼女は、今度はこのショートメッセージサービスの開始を迫った。というのは大げさすぎるか。でも、かわいい女の子に「えー、○○君にメッセージ送れないの?」なんて言われて逆らえる男はほとんどいないんじゃないだろうか。もちろんぼくにも無理だ。

ぼくは昼ご飯を食べているその場で(彼女とはいつも一緒に昼ごはんを食べていた。もちろん、二人っきりではないけれど)電話をして、ショートメッセージを使えるようにした。彼女は「無理言ってごめんね」なんていってたけど、その割にはとても嬉しそうだった。そうして、ぼくたちは休みの日にもちょくちょくメッセージのやり取りをするようになった。

ぼくが長期出張に行ったのは、入社して半年のことだった。わざわざ出張に行くのだから忙しかったのだろうと思う。その頃のことはあまり覚えていない。彼女からの一通だけのメールはちょうどその頃の日付が入っている。彼女会社アドレスあてではなく、ショートメッセージでもなく、あえて個人のメールアドレスに宛ててメールを出したのか、ちょっと分かるような気もするのだけど、確かめるすべはない。

(続く)

記事への反応 -
  • PCのメールを整理していたら、ふと昔のメールが目に入って、懐かしいやら恥ずかしいやら、そういう感情を覚えた。 ぼくのPCには、社会人になってからのメールがすべて残っている。別...

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