端折って言うとな。
ウイルスって生き物(と言えるかどうかも議論があるがさておく)は、遺伝子(DNAないしRNA)がほとんどむき出しに近いような状態でさまよっているようなもので、それが宿主となる細胞の遺伝子に組み込まれたり便乗したりすることでやっとこさ増殖できる、という特性を持つ。んで、ウイルス≒遺伝子そのものだからものすごく突然変異を起こしやすい。
んで、鳥インフルエンザとヒトインフルエンザは普通は鳥/ヒト体内で同時に感染したりしないものなんだが、さてここに両方に同時に感染しうる生き物がいる。豚なんだがな。
そうするとその体内で、鳥インフルエンザとヒトインフルエンザが仮に同時に出くわすと、豚細胞内に取り込まれて増える段階で鳥インフルエンザウイルスとヒトインフルエンザウイルスの遺伝子が一旦ごっちゃになる可能性がある(遺伝子組み換え)。そうすると、鳥インフルエンザがヒトへの感染能力を得る(あるいはヒトインフルエンザが高毒性鳥インフルエンザの毒性を得る)可能性があるわけだ。
これは確率的にはいつでも起こりうることで、現に過去も何度も起こったことだ。そして起こったときがパンデミック発生の時だ(強毒性鳥インフルエンザとの組み替えばかりが畏れられているが、弱毒性のものとの組み替えですら「今までワクチンの存在したことのない、全く新しいタイプのヒトインフルエンザウイルス誕生」となるため、それなりの脅威たりうる)。ただ現在はたまたま起きていないだけ。
(勿論、たまたま鳥インフルエンザとヒトインフルエンザに同時に感染したヒトの体内でこういう変異が起きる可能性もなくはないが、豚よりは遙かに低い)
(対策としては「とにかく豚と鶏を一緒に飼うな」ということが言われているが、全世界にそれを徹底するのもなかなか困難な状況。特に中国~東南アジア奥地では豚と鶏が一緒にいる環境が多く、このへんが新型インフルエンザの震源地になるんじゃないかと目する研究者もいる)
かつてインフルエンザとしては史上最大級の死者を出した「スペイン風邪」ってやつもこうやって誕生したと目されてるから調べてみるとよいよ。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/
要するに、「たまたま養鶏場に居たヒトが鳥インフルエンザに罹って死にました」それ自体は(お気の毒ではあるが)深刻な事態ではないが、むしろヒトが罹りうるほど「ヒトに飼われてる豚の」身近に強毒性鳥インフルエンザウイルスが迫っていることを畏れるべきだったりする、というお話。
そもそも病原性がHとNの型だけで決まるって話が乱暴だし、H5とH7が高病原性って(法律で)定義してるのに強毒型と弱毒型があるってのも変な話で。 養鶏場で人が発症したから...
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獣医学部に通ってたときの話。 前職が農水省関連の団体だった教授の話。 「鳥インフルエンザがヒトにうつるかもしれないと世間を騒がせていますが、鳥からインフルエンザが分離され...