祭壇の上で祈祷を行っていた男は空を見上げ、いぶかしく思った。高く澄み切った蒼天に、輝く星の如き光を認めたからである。光はやがて大きさと輝きを増し、光の尾を引いてぐんぐんと祭壇の方へ近づいてきた。男の周囲で祈祷を捧げていた従者たちも、光の存在に気づいたが、男に決して動かぬように指示を受けていたために動く者はいなかった。光は祭壇が築かれた丘からほど近い草原に突き刺さるように落ち、轟音を響かせた。光を中心として直径20メートルほどの巨大な陥没が、草原に突如として現れた。陥没の周囲には、焦げくさい匂いが満ちて、もうもうと煙が立ち込めていた。
光の中心に、赤い甲冑を身に纏った少女が立っていた。甲冑そのものが持つ朱色とは別に、高熱による灼熱の赤色を放っていた。時間とともに灼熱の赤色は色が薄くなっていく。
祭壇に立っていた男は、この不可思議な少女の出現に、ついに祈祷を止め、その心と同じように定まらない足取りでふらふらと陥没に向かって近づいた。すると、男の近づく速度と同じような速度で、少女もゆっくりと陥没から歩いて男の方へ向かった。
男が口を開こうとした時、それより少しだけ早く少女が声を発した。
「いかにも」
男は少女が自分の名前を知っていたことに驚きながらも、短くそう答えた。
「そう・・・良かった。時間がないから簡単に言うわ。このままだとこの時間軸、いいえ、この世界では東南風(たつみかぜ)は吹かないわ。そして、あなたは死ぬわ」
少女が言った言葉を聞いて、コウメイと呼ばれた男は絶句した。毎年この時期にだけ吹くはずの東南風が、今年は吹かないということをコウメイは気づいていた。それも、祈祷を始めた三日前には吹くという星の配列だったものが、急に変わったのだ。呉軍が勝つとはっきり出ていた卦が消え、自分の命運が尽きるということが、卦の中にはっきりと現れていた。
「こちらの手違いでね、この世界にある男が逃げ込んで世界を変えようとしてるの。天候を変えて東南風を吹かなくしたばかりか、呉軍があなたを2時間ほど早く捕らえに来るように工作したのよ。あなたは今すぐにここから逃げて。私はすぐに東南風を吹かせてから、バテイに化けてるその男を捕まえにいくから」
コウメイは少女の言うことを理解した。従者に祈祷を止めさせ、馬に乗った。
「馬上から失礼する。ご尽力、かたじけない」
「気にしないで。これが私の仕事だから。シリュウはもう来てるはずよ。急いで。私、もう行くわ」
少女はものすごい速度で山を駆け下りて、曹軍の中に消えて行った。コウメイは少女の後姿を見送り、馬に鞭を入れた。
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