2007-05-31

(2007/05/31 依頼により掲載)


ある夜、セックスが嫌いな女の子の手を握って、

セックスが出来ない男の子が言いました。

「早く機械人格を持てばいいのにな。

 そうすれば文明や地球未来機械に任せて、

 僕たちはセックスをしたり、子供をつくったりせずに、

 ずっとこうしていられるのに。」

『・・・・・・・・。』

 女の子は黙って泣いていました。

セックスが嫌いな女の子や、

 セックスが出来ない男の子が増えているのは、

 もう人類の役目が終わろうとしているからだと思う。」

『・・・・・・・・。』

 すると、それまで黙っていた女の子が、泣きやんで口を開きました。

『・・・わたしもそう思う。そうやって人類は滅びるんだわ。』

 男の子は続けました。

「今、大人が子供を憎んでいる。子供は大人を信じられずに育っていく。

 そして僕らは子供を残すことが出来ない。」

『きっとそうよ。ねえ、今、とてもいいことを言ったわ。ねえ、もう一度言って。』

 男の子は言われたとおり繰り返しましたが、

 女の子は今度はあまり感動しませんでした。

 そして二人は、部屋にともしたろうそくの灯りの下で、

 あんなにいやがっていたキスを、何度もしたのでした。

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