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今回の国母君の服装問題と似たようなことがソルトレイクオリンピックの時にもおきました。
僕の目から見ても今までで最高の滑りをした中井君の得点がいまいちで、メダルの期待があったのですが、アメリカに金銀銅を持って行かれ5位入賞で終わりました。当時高校生で元々シャイな中井君、このときの得点は本人にも納得いかずふてくされモードで宿舎に帰りたいと僕に訴えました。競技が終わった選手は記者団のうじゃうじゃいるジグザグの通路を通り取材を受け、それから選手控え室に戻るというのが通常です。が、かなり落ち込んでいるので僕が彼をガードしてすべての記者を退け、控え室に戻らず車を出して宿舎に戻りました。
宿舎では自室に帰らず誰とも話をせずただコーチ部屋のソファーに膝を抱えて座っておりました。
中井君に取材を受けるように伝えてくれとの担当理事から電話がかかり、中井君に話すと、いまはそっとしておいてほしいと。その気持ちはすごくよく分かり、取材拒否の旨を担当理事に伝えました。
すると夕刻担当理事がコーチ部屋に来て直接説得。「取材を受けることも選手の仕事だ」とか、「誰のおかげでここにこれたのか」とか最後は「俺に恥をかかせるのか」などなど、、、、、中井君は沈黙。スタッフも全員何も言わず。僕だけ「理事、今日は勘弁してやってください」と、すると理事は「よしわかった」と部屋を立ち去りました。
その後コーチ全員理事の部屋に集合との連絡が来て部屋に行くと
「おまえらは選手に何を指導しているのか」「俺がどれだけ頭を下げて金をかき集めてここに来させてやっているのに恥をかかせやがって」とコーチ全員の前でしたが唯一口答えをした僕に対しての叱責でした。
解散の時に、「今晩、打ち上げ行くぞ」と、そして「古川、おまえは来ないよな」と、、、、
そのとき僕は、ああこれでクビだなあと直感しました。
僕は、その後中井君にどうしても今日の結果を納得してもらいたくジャッジに話を聞こうと、一人だけいる日本人のジャッジに連絡を取り夕食の約束を取り付け、いやがる中井君と友人の村上君をつれてチームの車でジャッジの泊まるホテルへ。ちょうどそこに全日本の技術員会の委員長もいたので(中井君が信頼していた数少ない大人)同席してもらいソルトレイク市内のレストランに行きました。
ジャッジは今日の採点を細かく中井君に説明してくれ、深夜の三時デニーズでコーヒーを飲む頃には今日の滑りの問題点を納得して理解してくれました。
ソルトレイクから帰国後、経費の精算をしに全日本スキー連盟に行き、次の大会、札幌でのワールドカップの書類と経費を預かっていこうとしたら書類に僕の名がありません。事務局の人もおかしいなあと。
そうなんです。クビにするのも面と向かって言わず書類上で名が消えていくのです。
大会終了後、勝てなかった選手はお偉いさんたちにとってはもうゴミです。だれもシャイな高校生の競技後の気持ちなど考えない。だれもそれをケアしようとしない。日本のスポーツの世界なんてこんな程度です。世の中が変化しスポーツの世界も変化しているのに、いまだにアマチュアリズムやスポーツマン精神、たてまえや、お偉いさんのメンツの方が一競技者より優先されます。まだ若い一選手に日本というものを背負わせるのは重すぎると思います。スポーツマン精神は競技者のなかから生まれるものなのにいつのまにか一般大衆の価値観で決められてしまっているようです。
国母君の服装のみだれって何処が基準なんでしょうか?ユニフォームの日の丸をはぎ取った訳じゃないし、一個人の価値観を押しつけすぎ何じゃないでしょうか?
世界の頂点に立てるような選手に普通の価値観を押しつける方が無理ってものです。
※日本選手団公式服装着用規定「(着用の規定)第2条 日本選手団に認定された者は、自覚と誇りを持って公式服装を着用しなければならない」
僕がナショナルチームから去った頃に国母君の活躍が目立ってきました。当時はちっちゃいのにずいぶん飛ぶなあという印象でした。
直接話をしたこともありませんが、
犯罪を犯した訳じゃないし、競技とは直接関係ない服装規定なるルールやくだらないお偉方のメンツなど適当にいなして自分のスタイルのすばらしい演技をしてもらいたいと思います。